地獄の忍者教室(全3話)

地獄の忍者教室①

かつて大名や領主に仕え、諜報、破壊工作、暗殺などを行ってきた「忍者」。しかし江戸時代以降はその役割を失い、現代社会において当時の忍者と同じ活動をしている者はいないとされている。


この認識はあくまで表社会におけるもの。実は今もごくわずかながら忍者は存在し、活動の場を世界に広げ、裏社会で要人の殺害を主に暗躍している。そんな忍者を幼少期から育成する全寮制の教室が、群馬県内某所にあるのだ。


50畳はあろう広い道場で、横一列に並ぶ20人の少年。年齢は10歳前後で、全員白い忍び装束を着ている。その前を、腕を後ろに組んで歩く、黒い忍び装束を着た中年男性。


中年「俺の名は猿飛さるとびだ。貴様らの教官として、これから半年間みっちり忍者のノウハウを叩き込む。俺が貴様らに質問するとき、返事は『はい』でも『いいえ』でもない。全て『ニンジャー』と答えろ!分かったなチビマラども!」


少年たち「ニンジャー!」


猿飛「声が小さい聞こえんぞ!アソコが小さいヤツは声帯まで小さいのかぁあん!?」


少年たち「ニンジャー!!!」


猿飛「身寄りのない貴様らは、社会的に存在していないも同然だ。権利も立場も肩書きもない。ここで俺の指導を受け、忍者になるしか生きる道は残されていないのだ。しかし、この教室での訓練は地獄そのもの。真の殺し屋になることしか、ここを卒業する術はない」


少年たち「ニンジャー!」


猿飛「声が小さい!玉から声を出せこのク⚫︎ミジアども!俺のデカマラでケツ⚫︎ナを突かれたとしてもそんな声しか出せんのか!?」


少年たち「ニンジャー!!!」


猿飛「ここにいる間、俺はお前らを、両親の性欲が生んだしゃべる肉塊と見なす。ブタやニワトリにも劣る、蛆虫すら食おうしない腐った肉の塊、それが貴様らだ分かったかぁ!!」


少年たち「ニンジャー!!!」


猿飛は華奢な少年の前で足を止め、顔を向ける。


猿飛「貴様の名前は?」


華奢な少年「ニンジャー!」


猿飛は少年の右頬に強烈な張り手を喰らわせる。


猿飛「貴様の名前はニンジャーなのか!?答えが『はい』か『いいえ』でない場合は普通に答えろ!チビマラ野郎は脳みそもミニマムサイズのようだな!」


華奢な少年「岩十郎がんじゅうろうです!ニンジャー!」


猿飛「岩十郎?貴様の両親はこんな枝みたいに細い子どもに岩が付く名前をつけたのか?せめて草木にちなんだ名前にするだろ!貴様の親はフ⚫︎ックすること以外能のない節穴スケベ人間だ!」


岩十郎「申し訳ありません!ニンジャー!」


猿飛は再び歩き出し、別の少年の前で足を止める。最も背の高い少年だ。


猿飛「貴様はなぜこの教室に来た?」


背の高い少年「忍者になり殺しの術を学ぶためです!ニンジャー!」


猿飛「良い心構えだ!だが、殺しをするときは女郎蜘蛛を陵辱するくらいタフな精神力が要る。貴様にその気概はあるか?あるなら態度で俺に示してみろ!」


背の高い少年「ああああああっ」


少年は鬼のような形相で叫ぶ。そんな少年の右頬に、猿飛の張り手が飛ぶ。


猿飛「殺すときに興奮して大声を出す忍者がどこにいる!?ここは勃起の仕方を教える性教育道場じゃないんだ!貴様は筆下ろし希望者か?忍者ならば心が昂るときでも、フニャチンのように平静を装え!」


背の高い少年「ニンジャー!」


猿飛「だが殺しの素質はありそうだ!貴様を今日から、海の殺し屋・シャチの名を有する鯱次郎しゃちじろうと呼ぶ」


鯱次郎「ニンジャー!」


再び猿飛は歩き、今度は太った少年の前で足を止める。


猿飛「貴様何だその体型は!?忍者を舐めているのか!?舐めるのは性欲に支配された巨漢の股ぐらに付いた木偶の坊だけにしろ!」


太った少年「すみません!ニンジャー!」


猿飛「特に貴様への指導は容赦せん!そのブクブクに太った体から脂を搾り出し、海辺で寝そべるギャルの背中に塗るオイルとして出荷してやる!」


太った少年「ニンジャー!」


猿飛「名乗れ!」


太った少年「空流クールです!ニンジャー!」


猿飛「空流?少し離れている俺ですら今、貴様の体温で熱中症になりかけているのに空流だと?貴様、自分の名前に爽快感があるからといって昨今の地球温暖化には無関係という面をしているなぁ!?貴様が太っているのは熱膨張によるものだ!違うか!?」


空流「その通りです!ニンジャー!」


空流の右頬に猿飛の張り手が突き刺さる。


猿飛「なら痩せる努力をしろ!自慰行為でもやり続ければ痩せる!そんなこともできんのかこのブタマラがっ!」


空流「承知しました!ニンジャー!」


猿飛「お前らがどうしようもない自己満足のマス掻き野郎どもということはよく分かった!その卑猥な根性を叩き直すため、まずはランニング50kmだ!俺の言った言葉を繰り返しながら、4列の陣形を崩さずに走り続けろ!」


少年たちは道場からグラウンドに出て、5人ずつ4列に並び走り始める。その隊列の横で並走する猿飛。


猿飛「忍者はニンニン言わないよー♪」


少年たち「忍者はニンニン言わないよー♪」


猿飛「よーるはアンアン言うけれど♪」


少年たち「よーるはアンアン言うけれど♪」


猿飛「手裏剣、巻物、忍者刀ー♪」


少年たち「手裏剣、巻物、忍者刀ー♪」


猿飛「ぜーんぶ合わせて9万円♪」


少年たち「ぜーんぶ合わせて9万円♪」


こうして、地獄の忍者教室が始まった。

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