陰と陽の攻防③
翌日 PM12:05
昼休みの時間になり、オフィスビルから出てきた暗井。4人の同僚と一緒に道を歩いている。その様子を20mほど離れた後ろから、ビルの陰に隠れて覗くキョウカと光田。
キョウカ「普段の暗井さんって見たことなかったから、新鮮だなぁ。周りの人たちもイケメンで、めっちゃ『陽』って感じ」
光田「アイツらは、ただ顔が良くて業績が良いだけの薄っぺらい連中ですよ!ずっと大嫌いだった!」
キョウカ「ホント骨の髄まで逆恨みですね」
光田「ふぅ……一矢報いてやる……光田、行きまーーーす!!」
光田はブリーフ一丁のまま、右手に猛毒入りの注射器を持ち、暗井に向かって駆け出す。光田の体が少しずつ霧のように消えていく。
キョウカ「あっ!暗井さんだけでなく取り巻きたちも陽キャだから、除霊範囲が広がっているんだ!光田さんが消えるのが想定より早い!」
光田は、全身を炎に包まれてるような熱さに襲われていた。それでも足を止めることはない。
光田「うぉぉぉぉ喰らえぇぇぇっ!これがボクからの!地獄へのウェルカムドリンクだぁぁぁぁっ!」
注射器が暗井の首元に刺さる直前、光田の体は完全に消え去った。注射器は虚しく地面に落下する。
無意識の間に背後で繰り広げられていた攻防の余韻を察したのか、振り返る暗井。興奮のあまり、ビルの陰から全身を出していたキョウカと目が合う。
暗井「あれぇ〜?キョウカちゃん!?どうしたのこんなところで?奇遇じゃ〜ん!これからメシ行かない?おごるよ〜!」
キョウカは一瞬だけ、地面に落ちた注射器に視線を向けた。
キョウカ「あっ、暗井さーん!ホント奇遇ですねー!ぜひご一緒させてくださーい!」
キョウカは注射器を踏み潰し、暗井率いるただ顔が良くて業績が良いだけの薄っぺらい連中に合流した。
<陰と陽の攻防-完->
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