影・影・影③
童元「もう諦めろ。それともまだ無駄な足掻きを続ける気かね?」
魔島「はぁ……はぁ……いや……もう勝負はついた……オレがアンタの……はぁ……玉を噛み切る直前にな」
童元「何を言って……」
突如、童元の視界が大きく歪む。呼吸ができなくなり、両手で喉を抑えながら膝をつき、前屈みになった。
童元「なん……なんだ……これはぁ……?」
魔島「アンタ……3体目のドッペルゲンガーを作った後、『サーロインステーキを食べた』って言って、ゲップしてたよな?ドッペルゲンガーは、身に付けているものはコピーできないが、体内に入ったものはコピーしてしまう……そうだろ?」
童元「だ……だからなんだというのだ……?」
魔島「アンタの体に入ったものは他にもある……オレの唾液……自決するため奥歯に仕込んでいた毒薬入りの唾液だ。毒薬を飲まずに、アンタに吐きかけた」
童元「ま……さか……」
魔島「毒薬を含んだ唾液がアンタの体に入ってから、10秒以上、三角絞めを耐えた……この時点で、アンタが新しく作るドッペルゲンガーは全て、体内の毒薬までコピーしてしまう。もう、何回さかのぼっても、毒薬を飲む前の体は作り出せない!」
童元は指を鳴らし、ドッペルゲンガーを作るが、そのドッペルゲンガーも毒薬で悶え苦しんでいる。
魔島「無限に死に続けな」
魔島は立ち上がり、よろけながら部屋の出入口の扉を開け、長い廊下に出た。
廊下の奥からズンズンと歩いて魔島に近づいてくるフルチンの童元。直後、魔島は胸のあたりがじんわりと温かくなるのを感じた。胸に包丁が根元まで刺さり、刃が心臓に達している。童元は魔島の胸から包丁を引き抜いた。
童元「キミは気付くべきだった。最初に殺した私が、そもそも影武者である可能性に」
膝から崩れ落ちる魔島。倒れ際、顔が童元のナニに当たり、ペチンと音を立てる。
童元「IT企業の経営者で、自身のコピーを作れる私が、
うつ伏せに倒れた魔島の頭の上で、裏玉を押し付けるかのように、うんこ座りをする童元。魔島の尻ポケットに入ったスマートフォンを取り出すと、電話をかける。
童元「私だ。殺し屋に侵入された……もちろん返り討ちにしたよ。今すぐうちに来て、身元を調べてほしい。コイツとつながりがあって、私の命を狙う可能性がある者も全員洗い出してくれ」
<影・影・影-完->
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