影・影・影②
分身による実質的な不死。目の前で繰り広げられる異様な光景に圧倒され、10歩ほど後ずさりする魔島。
童元「ただ、私が身に付けている服や時計などはコピーできないので、ドッペルゲンガーはフルチンの状態で生成されてしまう。家の中か風呂場でないと使えないのが難点だ」
ゲェプッと、童元の口からゲップが漏れる。
童元「おっと失礼。2時間ほど前、晩御飯にサーロインステーキを800g食べて満腹でね。ちまちま殺し屋なんかやってるキミでは、まず食べられない超高級肉のステーキさ。私のバッキバキの肉体を維持するには、それだけ大量かつ高品質な肉が必要なのだよ。そしてぇっ!」
童元は魔島に全速力で接近する。魔島は横にナイフを振って応戦するが、童元はスライディングをして刃をかわした。その勢いのまま逆立ちし、ナイフを持つ魔島の腕と首を両足で絞め上げ、三角絞めを決める。
童元「この肉体はそのまま武器になる。さぁ、キミを窒息死させてやろう!」
魔島の気道と頸動脈が強く絞めつけられる。
童元「私の三角絞めはどうだ?柔術の先生からは『筋が良い』と言われたよ!今キミに押し付けているのは、裏筋だがね!」
意識が朦朧とし始める魔島。ナイフを握る力すらなくなってきた。一方で不幸中の幸いか、童元のナニが顔に張り付く不快感で、どうにか気絶しないで済んでいる。
童元「ついでだ、私の愚息に接吻をしろ!そして懺悔しながら死ぬのだ!」
魔島の脳裏にある考えがよぎった。自決。魔島の奥歯には小さなカプセルが仕込んである。それを噛み砕き、中身の毒薬を飲み込むと40〜50秒で心肺機能が停止し始め、1分もすれば死に至る。魔島はいざというときのため、自分から依頼人の情報が漏れないよう対策をしていたのだ。
だが、初対面の人間のナニを顔に押し付けられながら死ぬのは、殺し屋である以前に人としての拒否感が勝る。
魔島は挑発するかのように、童元の顔に向かって唾を吐く。唾は「接吻をしろ」などとしゃべる童元の口に入った。
童元「汚っ!何してくれてんだこのド変態!」
魔島「そりゃテメーだろ……露出狂……」
耐えろ、耐えろ。魔島は自分に言い聞かす。失神しそうになったら、あえて童元のナニに頬擦りすることで不快感を高め、意識を保った。
童元「なかなかしぶといな……こうなれば、玉も舐めてもらわなきゃ気が収まらん!私の玉を舐めろ!まず左玉からだ!ショートケーキのフィルムに付着したクリームを舐めるように!」
やがて魔島の限界が来た。
魔島「ぐっ……なら望み通りにしてやる!」
魔島は薄れゆく意識の中で力を振り絞り、童元の左玉を咥えると、思い切り噛みちぎった。
童元「あがぁぁぁぁっ!誰が噛みちぎれと言ったぁぁぁぁっ!」
あまりの痛みに三角絞めを解く童元。魔島は足から抜けると仰向けに倒れ、思い切り空気を吸った。あと数秒遅ければ、死んでいただろう。
股間から滝のように流血する童元。このままでは失血死してしまうため、急いで指を鳴らし、ドッペルゲンガーを作り出す。左玉を失った童元は床に倒れ死亡。また別の、両玉がある童元が現れる。
童元「玉を噛みちぎる覚悟は見事。だが私を何度殺そうが無駄なんだよぉ!無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ぁーーーっ!」
魔島「ぐぅぅ……ゴホッ!ゴホッ!」
魔島は片膝をつき、むせながら床に落ちたナイフを拾う。
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