ロンドン忍者鬼行②
PM 4:34
ある民家の屋根の上。
1本の日本刀を背負い、スマートフォンをいじるピーター。
ピーター「これまで犯行が起きた16カ所を地図上にまとめると、ロンドンの北部に集中しているな。犯行時刻は20時から明け方4時。場所は公園が多い……殺人鬼は人目を避けるため夜に行動し、人気の少ない場所で殺しをしているのだろう。では日中はどこにいる?刀を持った人間が明るい時間帯に街をうろついていたら、すぐに発見されるだろう……潜伏先を探し、待ち伏せするか」
ピーターは大きくジャンプし、屋根から屋根へと次々に飛び移った。
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PM 7:53
ある公園の噴水そば。2人の男性警官が会話をしている。一人は細身で、一人は肥満体。対極のような体つきをした男たちだ。
細身の警官「マジで帰りてぇ……」
肥満な警官B「サムライ殺人鬼がいる街をパトロールだなんて、俺らの給料に見合ってねぇよな〜。警官も命を落としてるってのによ〜」
細身の警官「まったくだ……早く辞めれば良かったこんな仕事」
肥満な警官「しかも捜査本部の見立てだと、例のサイコ野郎はこの北部に潜伏してるらしいぜ〜。マジで俺らの喉元に、殺人鬼のブレードが突き立てられてるって感じだな〜」
細身の警官「夜の公園で無差別に人を襲う殺人鬼なんて、映画でしか見たことねぇよ……」
肥満な警官「あと北部で捜索してないのは、あの森だけだな〜。俺もあそこにいるんじゃねぇかなって思ってる」
細身の警官「あそこ昼間でも薄暗いからなぁ……殺人鬼が潜むのにはうってつけだ……」
肥満な警官「明日の朝、捜索隊が入るらしいぜ〜。特殊部隊も同行するそうだから、さすがの殺人鬼もお縄だな〜」
細身の警官「今夜がヤマって感じか……おお神よ、私の命を守りたまえ……」
肥満な警官 「祈りはいいからよ〜、さっさとパトロール終わらせようぜ〜」
2人の警官は噴水から離れ、公園内の闇に消えていく。
噴水の水の中から突き出た竹の棒。バシャッと音を立て、竹の棒の咥えたピーターが水面に上半身を出した。
ピーター「ブワッはぁっ……はぁ……はぁ……師匠直伝の『
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PM 11:45
南西の森
ピーターは森の中を走り回り、ある仕掛けを施した。両手の指10本から伸びるワイヤーを森中に張り巡らせる。ワイヤーに何かが引っ掛かれば、振動がピーターの指に伝わり、引っかかった者がいる大まかな場所を特定できる「
森は子供の足でも1時間半あれば1周できてしまう程度の狭さ。競走馬と同じ速度で走れるピーターなら、殺人鬼が森のどこでワイヤーに引っ掛かろうが、数分以内にたどり着ける。
AM 4:23
巨木にもたれかかり、振動を待つピーター。そのとき、右薬指に結んだワイヤーが震えた。何者かがワイヤーに引っかかったのだ。
ピーターはハヤブサのように駆け出し、ワイヤーを辿る。1分ほど走った先、アロハシャツとデニムを身につけた、金髪の中年男性が木々の間に佇んでいた。
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