無題

　小学生の頃、「枕の下に本を置いて寝ると、その本の世界の夢が見れる」って話聞いたことあります？　あれ実際に試した事あるんですよ、僕。

　今の小学生も同じかは分からないですけど、僕らが小学生の頃って言ったら大体、男子は昆虫とか恐竜とか働く車とか図鑑ばっかり見てて、女子は占いとかイラストの本、そういうのだったじゃないですか、僕はあんまり図鑑とか興味なかったんですけど。

　何年生だったかなーあれ、多分三、四年生くらい？その夢の噂聞いたのがね。やっぱ試してみたくなるじゃないですか、こういうのって。周りの友達も見れたって人と見れなかったって人がいて、気になったんですよ。

　で、当時僕がハマってた本が「みんなの怖い体験談」っていうホラー短編集みたいなもので、それを枕の下に置いてみたんですよ、まぁ僕の本じゃないんですけど。なんか母親がそういうの子供に良くないってね、買ってくれなかったんです。だから4つ上の姉の本借りてね、でも貸してほしいって言ったら絶対に貸してくれない人なんで勝手に本棚から取って(笑)

　あーそれで実際成功したかって？それがねー微妙な結果というかなんというか。夢は見れたんですよ、一応。どんな内容だったかは忘れちゃったんですけど、やっぱり怖い話の本置いて寝たんで怖い話の世界に入るみたいな内容だったのは覚えてて。

　でもその後が変で、夢の中って何となく時間感覚あるじゃないですか、もう起きる時間かな、みたいな。それでそろそろ目覚めるかなって思ってもずっと目が覚めなくて。怖い話の世界から出られないんですよ。

　僕の予想なんですけど、寝てる時に意識が僕の頭から枕の下の本に行くじゃないですか、え？　まぁまぁ一旦そうだとして、それで怖い話の世界に入った後に夢を見て、目覚める時に頭の中に戻ろうとしたら戻れなかったんじゃないかって。例えば姉が枕の下から本を取ってったとかで。予想ですよ？というかそう考えないとこの状況が理解できないし。

　まぁ謎な部分はもっとあるんですけど、割と楽しめてるからいいんですよ。面白いですよ、怖い話の世界に居るのも。原理は分からないですけど怖い話の本を行き来できるんですよね。だからホラー短編集に勝手に怖い話書き足したりして読者を怖がらせて遊んでるんです。目次にないのに載ってて、次見た時は無くなっている。神出鬼没の怖い話ですよ(笑)

　いやぁ何なんですかね、今のこの状況。幽霊って訳でもないし、怪奇現象みたいな感じですかね。怖い話の夢見ようと思ったら自分が怖い話になったなんて聞いたことあります？

　最近はデジタルで書かれた怖い話にも入れるようになって、もう遊び場が増えた感覚ですよ(笑)

　読んでるでしょ、今。デジタルで。