第4話 ギルドでボイチャ
スマイルさんに聖魔育成を手伝ってもらいあっという間に3次転職を終えた。
さらにスマイルさんがやっているギルドに入れてくれると言う。
お世話になりっぱなしで感謝を通り越して申し訳ない気持ちにすらなってくる。
このギルドは少数精鋭がモットー。メンバー募集も一度もした事がなく
新規メンバーを増やすことは殆どないそうだ
ギルドの特徴はとにかく1人1人が強い。とてつもない強化がされている。
その強さは通常かなりの人数でパーティを組まないと倒せないボスを簡単に数人で倒せてしまうほどである。
どうしても倒せない敵がいたとしても他のギルドメンバーを頼る事はなく複数のPCを使って自分たちだけでキャラを補い攻略する
間違いなくこのサーバーのトップランカーが集結しているギルドだ
現時点で倒せないボスはいないらしい。
そんなところに私みたいな低レベル初心者が入ってもいいのだろうか?
もやもやした気持ちを抱えながらギルドの説明を聞き続ける。
ギルドの方針はとにかくボスを効率良く倒してレアアイテムを収集すること。
収集した大量のレアアイテムを販売してその費用でキャラを強化する。
このギルドはゲーム内の活動のみで凄まじい強化をした最強キャラを量産できる
上級者の集まりだ。
私も同じようになれるのだろうか
門限で施設に帰ったあとはゲームが出来ないという時間的な制約がある。
瞬く間に『使えない』と見放されギルド追放とならないだろうか
ギルドの実情を知れば知るほど不安が大きくなっていく。
「あまり乗り気じゃないのか?」
そんな不安を察したのかスマイルさんが聞いてきた。
「こんなすごいギルドに私なんかが入れてもらっていいのでしょうか?」
私は素直に感じている不安を口にした。
「俺がいいって言ってるんだからいいんだよ。気にするな」
スマイルさんが優しい言葉をかけてくれる。
不安が無くなったと言えば嘘になるが、こんな高レベルのギルドに加入出来るチャンスを逃す手はないと私は勇気を振り絞って加入する事に決めた。
ギルド招待が送られ承認を押す。
私のキャラ名の下にギルドの名前のラベルが出現する。
加入したとたんにギルドチャットのタブに未読マークがついた。
「こんにちわー」「はじめましてー」
「よろ」「よろしくおねがいします」
複数の人が即座に挨拶してくれる。
「はじめまして。奈々と言います。よろしくお願いします」
私はなるべく丁寧に挨拶をした。
こういうのは最初が肝心だよね。
悪い印象を持たれないように丁寧に接するようにしないと。
このギルドは私が入り総勢11名となった。
みんな複数キャラを作りギルドに入れているのでギルド人数はかなり多いが動かしている人は11人だけだった。
スマイルさんがギルマス(ギルドマスター)
他のメンバーは男性7名女性2名。
私が入って女性は3名になった。
女性の数がかなり少ないと感じた。
「お前さぁ、スカイプとかやってる?」
スカイプでボイチャに誘われた。
ボイチャとは、ボイスチャットの事で複数人で通話が出来る。
チャットと違い文字を打つ必要がないのでとっさの判断などが必要となるボス戦などではメンバー間の迅速な意思疎通に重宝する。
私はまだボイチャをした事がないが、誘われると嬉しくなってすぐにインストールした。
現在ノートパソコンを持ってマックでゲームをしている事と、家(施設)ではネット環境がない為、プレイ出来ない事を了承してもらった上でボイチャに参加した。
「はじめまして、奈々です」
はじめてのボイチャに緊張しながら挨拶をする。
「どもー」「こんちわ~」「はじめましてー」
その時にボイチャにいたメンバーから次々と挨拶を受ける。
「よ!!」
最後に挨拶をしてくれたのがスマイルさんだった。
「ところで奈々はどんな火力職がしたい?」
次々に会話が進む。
いきなり呼び捨てだったり少し距離感も近い。
少しだけ戸惑ったが、ゲームのメンバーとボイチャをするのがはじめてなのでこんなものなのかな?と気にしない事にした。
「ゲームはじめたばかりでどの職がどうなのかよくわからないんですよね」
「まずはこの聖魔を多少でも使えるくらい育てた方がいいのかな?って思ってます」
正直に自分の意見を言った。
「うん。却下。なんでいきなり補助職なん?
それとも聖魔で火力職になろうとしてる?そうとう大変だよ?」
ゲームの事よくわからないんだって事は無視して私の意見はバッサリと切り捨てられる。
「えっと・・じゃあどうしたら・・・」
私は少し困り返答に詰まってしまった
「じゃあさ提案。俺がやってる投げ職やってみ。速攻で育ててあげるから」
スマイルさんがやっているこの186レベルの盗賊上位職のナイトロード
ボス回りに同行し、その圧倒的な強さを私は知っている。
スマイルさんのキャラが目標となるのでイメージもつきやすいだろう。
私は提案の通りスマイルさんと同じ職のキャラを作る事にした。
私がネトゲで堕ちるまで No name @Locany
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