第3話 プレイヤーとの交流
次の日は学校が休みだったので朝からマックに直行した。
ゲームの続きがしたくてたまらないのだ。
転職したばかりの魔法使い冒険者のクエストを順にこなしていくとあっという間にレベルが上がっていく。
序盤は特に効率的にキャラを育てられるようにクエスト報酬が非常に高く設定されているみたいだった。
あっという間にレベルがあがり2時間ほどで2次転職の30レベルが近くなる。
お昼前くらいにはもう転職クエストを受諾していた。
転職のNPCが話す転職クエストの概要を熟読していると他のプレイヤーが現れた。
「こん^^転職ですか?」
いきなり知らない男性プレイヤーから話しかけられる。
これがリアルの世界であればナンパというやつだ。
本来ならそそくさと足早に立ち去るだろう。
しかしネトゲの世界ではなぜか他人に話しかけられても警戒心が働きにくい。
アバター姿の自分では生理的嫌悪感も知らない人とかかわる恐怖心も働かず、戸惑いはしたが会話を交わすことに抵抗はなかった。
「転職ですけどやり方がよくわからなくてクエストの内容を必死に読んでました」
説明が雑でよくわからないのだ。
その男性は転職クエストのやり方を簡単に説明してくれた。
結構簡単な内容だったみたいだ。
親切に転職方法を教えてくれた彼の印象はとても爽やかで知識もありレベルも高くゲームを始めたばかりの私にとってかなり頼りになった。
もう少し彼からいろんな話が聞きたいと思った私は転職クエストが終わるまで待っといてもらえないか尋ねてみると快諾してくれた。
「初めての転職なの?サブとかじゃなくてメインキャラなんだね」
キャラを複数作ってPT(パーティー)で協力してゲームを進める人が多いそうで30レベル前後のレベル帯のキャラはサブキャラと思われることが多いそうだ。
私はゲームを始めたばかりなのでメインキャラとなるキャラを育成しているところだと説明すると、転職が終わったらボスを吸わせてくれると言ってくれた。
吸わせてもらうとは、自分より強い人とPTを組んで通常では絶対に勝てないような敵と戦う事で経験値分配をもらう狩りの事だ。
敵とのレベル差が20以上ある場合、ほとんどの攻撃が当たらなくなり通常では倒すことが不可能となるのだが、1発でも当たるとPTで倒した時に経験値が分配される。
転職を早急に終わらせてクレリック(聖魔の2次職)になった私は彼が送ってくれていたPT申請の招待を承認して彼の案内する通りについていった。
彼のキャラ名は「スマイル」
レベルは186。盗賊職の上位職で投擲を主な武器とするいわゆる火力職である。
スマイルさんは30レベルでも装備ができる命中補正の高い装備を貸してくれて私の攻撃を1発だけ当ててボスを倒して回ってくれた。
30レベルになったばかりの私だったが、ボス回りに連れて行ってもらうだけで一気にレベルがあがり2時間後くらいには3次転職可能な70レベルを突破していた。
「すごすぎなんですけどwwwボスありがとうございます」
私はあまりにも効率のいいレベル上げに感動していた。
あっという間だったので気持ちがまだついてこない。
「まぁ全然気にしなくても日課についてきてもらっただけだし」
スマイルさんは毎日ボスまわりをしているみたいだ。
経験値とドロップ狙いだそうだ。
転職を済ませてクレリックからプリーストに変わる。
スキルポイントを分配する余裕すらなかったので転職前に急いで上げたが使ったことすらないスキルばかりで私の聖魔の知識はかなり乏しい状態となった。
「ずっと聖魔でやってくの?」
スマイルさんは私が聖魔の知識があまりない事をわかっていた。
聖魔は絶妙なタイミングで補助スキルを使ってPTを補佐する職業のため、初心者には結構難しい職種なのだ。
私のような初心者はとにかく無心で攻撃を続ければいい火力職かターゲットをとって攻撃を受けるのが役目のタンク役であるパラディンがおススメだそうだ。
だが火力職の人の火力がPT全体の強さに直結するので火力職は装備の強化も非常に大変になる。
だいたいの火力職の人は、すさまじい課金によって装備を作り上げている。
すべてのボスが一瞬で倒される圧倒的な火力を目のあたりにして私は火力職に心を奪われていたのだが、施設で育つ中学生にお金はない。
装備を強化するのが非常に困難なのだ。
「本当は火力職がしたいけど、お金がないから装備を作れないしどうしたらいいですか?」
素直に相談してみた。
スマイルさんは少し考えたあとに私に提案してくれた。
「とりあえず俺のギルドに入りなよ。
ドロップ狙いがソロで出来るように3頭龍をソロで倒せる強化のサブキャラ作るのなら火力職を育成するのも手伝うよ」
「そのかわりメインでその聖魔を育てて今後の俺たちのボス攻略の補助役に育ててあげるから俺に貢献してよ」
実はこのゲームが12月に大型アップデートを控えていた。
強化システムが増えていきどんどん火力インフレがはじまろうとしている。
そしてそれに合わせて強力なボスが次々と実装される予定なのだ。
私はその補助職として育ててもらう事でボスに連れて行ってもらえるという願ってもない提案に喜んで承諾した。
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