第2話 ネトゲとの出会い

児童養護施設で生活をする私は中学生になった。

中学生になりお小遣いが毎月3000円に上がる。


私がこの時、1番興味を持っていたのは『インターネット』

学校の友達がハマっている話を聞いていて気になって仕方なかった。

私はパソコンを手に入れるために我慢に我慢を重ねて毎月2000円ずつお小遣いを貯め続けた。


16ヶ月もお小遣いを貯め続けた私は2010年8月、中学2年生の夏休みに大阪の有名電気屋街で28000円の安い中古のパソコンを購入した。

本当によく頑張った私!!

長い間欲しいものも我慢し続けてコツコツお金を貯めた努力が報われた。

生まれて初めてここまで我慢しただろう。

半泣きになりながら大切にA4サイズほどのコンパクトで1kgほどの軽量なノートパソコンを抱えて持ち帰った。


パソコンはインターネットに接続しないと通信ができない。

施設にはインターネット環境がないのを知っていたので、持ち運びが出来る極力小さなパソコンを選んだのだ。


9月からは小さくて軽いので学校にも持っていく。

帰りに施設の近くにあるマックでSサイズのジュースを買い、Wi-Fiに接続して施設の門限である18時30分ギリギリまでインターネットを楽しむ。

学校が終わって急いでも2時間程度しか出来ない代わりに土日などで学校が休みの時は1日中マックに入り浸りインターネットを楽しんでいた。


施設に帰ってからの余暇時間にもインターネットがしたい。

どうにか出来ないかと試行錯誤していたが、施設内で電波の届くWi-Fiは全てパスワード保護されているものばかりで接続できそうなものは無かった。



自由に使えるネット環境もないので限られた時間をギリギリ活用しながらインターネットを楽しんでいた私は、ネット広告から一つのゲームに目が止まる。

可愛いイラストのキャラが並ぶ広告、横スクロール型の簡単操作、基本プレイ無料と私にどストライクな広告に我慢できなくなってしまいスペック的にはギリギリだった私のパソコンにインストールしてみた。


インストールには1時間ほどかかる表記

進捗バーが右に向かい進んでいく画面を眺めながらそのゲームの公式サイトを丹念に隅々まで読み漁る。

掲示板があってプレイヤー同士がゲームの事を語り合っているのを見たり、イベント告知などに目を通して今から始めるゲームの予習を行なった。


『インストール完了・ゲーム起動』

待ちに待ったゲーム起動ボタンの点灯

私は即座にクリックしてゲームの画面に入った。


まずは遊ぶサーバーを選ぶ画面。

初めてのゲームなのでサーバーの事などはよくわからない。

適当にサーバーを選択して画面を進める。


続いてキャラメイキング

名前:奈々ちゃん

性別:女性

数種類の中から髪型や顔のパーツを組み合わせて好みのキャラを作る。

ワクワクしながらゲームにログインした。


チュートリアルでNPC(ノンプレイヤーキャラクター)の指示に従いながらクエストをこなすと簡単にレベルが上がっていく。

最初の基本操作を教えるために設置されているチュートリアルだ。

表示されるクエストを進めていくだけで簡単に10レベルに達成した。

10レベルは1次転職のレベル。

ここで最後に希望の職業を選びチュートリアルが終了する。


初めてのネトゲ、職業は魔法使いを選んだ。

特に意味は無かったのだが、初めてなので補助職の方がいいかなと思いサポート魔法の多い聖魔の道を選んだのだった。

これも公式サイトで調べた時に得た知識だ。

キャラは無料で3キャラまで作成可能みたいなので他の職業がしたかったら作り直せばいいだろうと簡単に考えていた。


10レベルで魔法使いに転職した頃には門限ギリギリの時間になっていた。

急いでマックをでて施設に帰る。

初めてのネトゲはすごく楽しかった。

今後どんな世界が待っているのだろう?

次にログインした時にやりたい事がどんどん頭に浮かび、ドキドキわくわくが止まらなかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る