おれの魂を難病ヒロインに捧ぐ

@2321umoyukaku_2319

第1話

 締め切りまで、もう一時間を斬った。

 う~ん、のっけから、これか。

 間違えた、切っただよ、すまね。

 どうしても書きたいことがあって、パソコンを起動させた。

 八百文字に達することが可能か、正直に言って、分からない。

 それでも書く。

 おれは、この週末ずっと、カクヨムその他の小説サイトに作品を投稿していた。

 どのサイトも、このクソ忙しい年度末に締め切りを集中させやがったので、マジでてんてこ舞いだった。ちなみに、半分くらいはKADOKAWAの系列グループの締め切りだった。次から何と火星。間違えた、なんとかせい。全然眠れなくて、体がもたないんだよ。

 それは、この際どうでもいい。とにかくおれは、この週末、心身共に疲れ切っていた。

 そんなおれを癒すものがあった。おれを癒してくれるものがあったから、おれは何とか、この地獄の年度末を乗り切ったと言っていい。

 それは、それは、それは……と三つも「それは」を繰り返すのは露骨な文字数稼ぎじゃない。もう400文字を越えた。これなら、800文字はいける。ただ、書き斬れるかどうかあああ、また斬れるになっちまった! 書ききれる、これだ。畜生、焦るとつまんねえエラーを起こしてブチ切れちまう! キレるのは、間に合わなかったときにとっておけ! てなわけで、話を戻す。

 おれを癒してくれたのは、難病ヒロインだった。彼女たちがいてくれたから、おれは眠らず、飲まず食わずで戦えた。どうしてかって? あの子たちが頑張っているのに、五体満足のおれが寝てられっかよ。弱音を吐くなんて、カッコ悪いことできるかってんだ! ちょっとくらい飲み食いしなくたって、健康なおれは死にゃしねえ! でも、彼女たちは違う。彼女たちは皆、病弱だ。死ぬ。

 皆、もう死んでっから関係ないっちゃないけどな。

 この週末、おれがチェックしていた難病物の名前を、ちょこっと書いておく。

『愛と死をみつめて』

『ある愛の詩』

『アルジャーノンに花束を』

 ちょっと待ってくれ。これ、難病物だけど、難病ヒロイン、出てないぜ? と異論が出るのは百も承知だ。おれは、あの先生が好きなんだ。最近の流行り言葉を使うなら、推しなんだ。どうか許してくれ。

『愛しているといってくれ』

 おいおいおいおい、ま~た間違ってるぜ。ここは「言ってくれ」だろ? という指摘は正しい。TBSのテレビドラマ『愛していると言ってくれ』も、おれは大好きだ。しかし今回は、あえてマージョリイ・ケロッグの小説を挙げさせてもらった。これもいい。二人でなく三人なのがいい。三人組……ああ、思い出した。ロバート・R・マキャモンの小説『遥か南へ』も良かった。ここにも三人、フリークスが登場する。

『世界の中心で、愛をさけぶ』の衝撃は大きかった。このタイトルには痺れた。ハーラン・エリスン好きには、たまらない。

『電池が切れるまで』

『余命1ヶ月の花嫁』

『1リットルの涙』

『君の膵臓を食べたい』

『四月は君の嘘』

『おジャ魔女どれみナ・イ・ショ』第12話『7人目の魔女見習い~のんちゃんのないしょ~』

 作品の名前を列挙しているだけなのに、泣けてきた。もう駄目だ。涙でモニターが見えん。

 それでも、最後に一つ。

『続・たけしくんハイ!』に登場する後藤久美子。最後、花火のシーンは泣ける。

 最後と言っておいて何だが、思った。桜と花火は、難病物の必須アイテムだ。どちらとも、短く、そして美しく咲き、あるいは燃えてキレる。

 また間違えたよ。燃えて消える、だった。

 時間が無くなってきた。書き残したことはあったかな。

 そうだ、難病ヒロインが審査員にいたんだった。

 受賞、おめでとう。これからも頑張って、伊集院静さん!

 今度こそ最後。伊集院光さんのご冥福を、心からお祈り申し上げます。

 追記。

 ここに何かの書き間違いがあったとしても、それはおれのせいじゃないことをお断りしておく。涙でパソコンの画面が見えなかったせいだ、要するに……俺を泣かした難病ヒロインたちが、何もかも悪いんだ。

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