幼き日の嘘

第1話 幼き日の嘘

ぼくには、おとうさんはいない

なんだか、わからないけどいない

おとうとが、うまれたときはいた

いもうとが、うまれたときもいた

いっしょに、りょこうもした

おともだちのところにもつれていってもらった

でも、もういない

ほんとうはさみしくて

さみしくて

あいたい

おとうさんにあいたい

でも、ぼくにはおかあさんがいる

まだ、ちいさなおとうとがいる

もっと、ちいさないもうともいる

だから、ぼくはだいじょうぶ

だけど

ほんとうはさみしくて

やっぱり

おとうさんにあいたい

だっこしてほしい

でも、ぼくは、つよくてやさしいおとうさんのこ

だから、さみしくても

さみしいっていわない

おとうさんがいなくて

いつもないてるおかあさん

いつもしたをむいてるおとうと

まだ、はなせないいもうとをえがおにするため

ぼくは、さみしいっていわない

みんなが、えがおになるまで

おかあさんにきかれても

きんじょのひとにきかれても

おともだちいわれたって

ぜったいにいわない

だって、つよくてやさしいおとうさんのこだから

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僕には父はいない

理由は知っている

持病のせいで亡くなったようだ

弟はもう社会人三年目

妹も大学二年生

今となっては

家族全員で旅行もしたことも

父の友人宅に連れていってもらったことも

全てがいい思い出

それでも

時々、さみしくて

会ってみたい

父を一度でいいから

見てみたい

語り合ってみたい

そう思う時があるけど

だけど、僕には夢がある

頑張ってくれた母親も

頑張っている弟も

妹もいる

だから、僕は父に会わなくても

会えなくても

もう大丈夫

今は自分に嘘をつくこともなく

その必要もない

人知れず泣くこともない

もう何があっても

どんな状況だろうとも

自分の考えを言える

相手に伝えることも出来る

だから、大丈夫

だって、僕は強くて優しい父の子なのだから