第29話  カズヤ君⑩

 試験監督助手のバイト、半分は女子大から来ていた。休憩中、カズヤ君は女子達のエリアをじっと見ていた。


「崔君、行くで」

「どこに行くんや?」

「あの女子大生とお近づきになるんや」

「頑張れ-!」

「崔君も行こうや!」

「僕も? なんで?」

「俺を盛り上げてくれや」

「わかったわ、ついて行ったらええんやろ?」


「お姉さん達、どこの大学?」

「〇〇女子大」

「女子大生かぁ、なあ、この男の子、カズヤ君って言うんやけど、どう?」

「どうって?」

「あなた達の恋人にどう? 童貞やから、いつも目が血走ってるし、ファミレスでエロイ話をしてくれるで」

「そんなん、最悪やんか」


 女性陣は笑っている。


「誰か付き合ってあげてや」

「うーん、無理かも」

「私も無理」

「ごめーん! 私も」

「ほな、僕なんてどう?尽くすでー!」

「君ならいいかもー!」

「ほな、連絡先を交換しようや」

「ええよ」

「ほな、私も」

「私も……」



「僕、大漁やで。カズヤ君に飯奢ったるわ」

「俺、全然、楽しくなかったんやけど-!」

「まあ、気にするな。お前は金を握りしめて風俗へ行け」







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