道端のタンポポをひたすらに見つめて、

道端のタンポポをひたすらに見つめて、それがタンポポであると認識できるうちから「タンポポではない」と打消しの言葉を想像することはできない。


逆算的に打消しのフレーズを含む文章には打ち消されていない平叙分のイメージが伴う。


「今日は涼しい」

「今日は長袖でも暑くない」


どちらも同じことを意味しているのに、「暑くない」という言葉を使った方が、長袖では暑かった日のイメージが浮かび上がってくる。打消しの助動詞さえ用いれば、1つの文の中に少なくとも2つ以上のイメージの重ね合わせができ、より文学的な表現を作り出せるのだ。


でも文章が文学的であればあるほど良いというわけでもない。文学的表現は例外なく、その意味を読み解こうとする読者の注意を引いてしまうため、注目してほしい情報は文学的な表現を用いて記述し、逆に注目してほしいわけでもない情報は平凡な文章で記述する緩急を付けるのが良い作家の条件の1つ。


これ見よがしにかっこいい言葉とか難しい表現を、どうでもいいところに使っている文章や小説は纏まりがなく、雑に言えば下手。言葉を選んで言えば初心者や素人っぽい文学作品になってしまうということを伝えて今日は終わりとする。

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