Episode:12 未来=暗黒

ホテルでの生活が、終わろうとしていた。

立入禁止区域だったミヅキさんの家は、調査が完了したため、

今日のの12月30日から、もう普通の誰でも入れる場所となる。

「...ねぇ、ミヅキさん。」

昨日考えた仮説は、確かに思い当たる節があったから、

ミヅキさんにも伝えたかった。

「何ー?」

「オレさ、一つ考えたコトがあるんだよ。」

「ん?」

「ミヅキさんのお父さんは、まだ生きてるんじゃないかって...。」

「...!! 何でそう思ったの?」

そりゃ混乱するだろう。だってもうずっと、死んだと思ってたんだから。

「...だってよく考えてみてよ。

この前、確かにミヅキさんのお父さんが死んだと報道されたけど、

遺体が発見されたとは言われてないでしょ?」

「...言われてみれば...確かに...。」

「それに、ミヅキさんのお父さんの場合、もう死んで一ヶ月経つのに、

未だに葬式が行われてないじゃん?」

「...そうだけど...じゃあ、何であの手術の報告書では、

死亡が確認されたってあったの? それに、遺書まで送られてきたんだよ??」

「..."蘇生術"っていうモノ、知ってる?

最近それが発見されたから、それを使って蘇生させられたとしたら?」

「...確かに、それで筋道が通る...!!」

「だから、100%とは言えないけど、

これで生きてる可能性が確かに0%じゃなくなったって言えない?」

「...そうじゃん! ありがと、まだお父さんが生きてるって思えて、

ちょっと元気出たよ!」

「...そっか、なら良かった。」

そう言って、ミヅキさんは自分の部屋へと戻って行った。


―あの反応見るに恐らく、彼女はこのコトを信じちゃいない。


...どうやら、あの子たちの家の周辺調査は完了したらしく、

立入禁止区域の看板は、もう撤去されていた。

オレは今、疑問がある。

それは、"この調査はどんなことをしたのか"というコト。

よくよく考えてみたら、事件が起きただけなのに、

わざわざこの山ごと立入禁止区域にしなくてもいいはず...。

ここで、答えは二つに絞られた。

上の組織は"ただただ腐ってる人の集まり"なのか、

それとも"これは何かの陰謀なのか"、どちらかとしか言えない―!!

「...?」

人の気配...!! 誰だ、と振り向いてみた。すると―――。

「...そっか、もう戻って来るんだこの家に。久しぶり。」

何とか普段通りに、振る舞えたのかな...。

でも、今自分の目の前ににいるのは、カゲフミ君と白石家...。

申し訳なさでいっぱいになるな...。

「"Ultimate Curse"さんじゃないですか! お久しぶりです!」

と、カゲフミ君が言った。どうやら、彼は自分の事を、

まだ覚えてくれていたみたいで。

「...アナタ達が無事に生きてて、安心したよ...。

...良かったら、聞かせてもらえませんか。あの後の話を」

あの後の話が、オレは気になってしょうがなかった。でも―。

「...ごめんなさい。あの後の話は、どうしても口には出来ないんです。」

...やっぱそうなるかー...。

「...そうですか、自分も変なコト聞いてしまい、申し訳ありません。

では、自分はココで、失礼しますね。

...じゃあね、カゲフミ君、ミヅキちゃん!」

そう言って、オレは振り向かずに歩いて行った。


―太陽が沈み、月が顔を出し、また夜が訪れようとしていた。

オレは、昔から持っていたノートに、書きたかったコトがあったので、

それをカバンの中から出して、ノートに書き始めた。


―――あの日の自分へ。

   生まれた日から、今日まで沢山のコトを、

   未来の自分に継承していってくれて、ありがとう。

   今オレは、過去とは違う場所で、楽しく過ごせているよ。

   ...未来の自分は、まだ弱かったあの日の自分は今、

   誰かの役に立てるくらい、成長を重ねてきたよ。

   命懸けで誰かを助けたこともあったけど、

   それも今となっては、かけがえのない思い出になってる。

   ..."過去は絶対に変えられないから、一分一秒を大切に生きる"。

   それを教えてくれたのは、過去の自分。

   オレはこの先も、色んな経験を重ねて、またオマエを驚かせたいよ。

   ...とりあえず、これだけは伝えて、またそのうち来るよ。

 

   "頑張って行こうぜ、その先めっちゃ楽しいから!"


         by 20XX年12月30日の自分


―20XX年12月30日 PM21:23 白石家前にて


ゴォォォォォ、と何か大きな音がしたので、

何があったのか気になり、外に出てみた。

するとそこには、ミヅキさんとミヅキさんのお母さんがいて、

その後ろにはロケットがあった。

「えーっとミヅキさん...このロケットは...何??」

オレは疑問に思った。まさかこれから、宇宙へいくつもりじゃ―!!

「...あーごめんごめん。言ってなかったねーカゲフミ君にはこのコト。

実はワタシ達、月から来たの。だから今から、一旦そこに戻るトコロ。

まあ、1ヶ月くらいかな。それくらい経ったら戻って来るよー。

じゃ、また一ヶ月後会おうね。」

そう言って、ミヅキさん達はロケットに乗り込み、

そのロケットは飛び立った。


―――ハ?


-See you again sometime...-

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MoonDarker:Soul @pap1dem0

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