第8話 大団円
そんな世界をイメージしていると、
「まるで、この世の四次元の世界を、創造したかのような感じだ」
と言えるのではないだろうか?
そういう意味では、
「同じ次元なのに、限りなく、違う次元に近い」
という感覚なのではないだろうか?
そんなことを考えていると、
「五分間」
という時間は、こちらでいう時間であって、本当は、
「数年くらいに長いものであったり、数秒くらいの短いものなのかも知れない」
と、自分が感じている世界の歪みというものを想像すると、まったく違った世界が広がるわけではなく、
「酷似した世界」
における、
「歪な世界」
という感覚が存在する世界ではないだろうか?
「無数の魂」
という発想も、
「酷似した世界の中の歪な世界の中に放り込まれると、どこか、距離や時間に、この世界との共通点があるのではないか?」
と感じるのだった。
そんな中にいて、作者であるさくらに、
「妹がいた」
という事実が、
「この小説にいかに影響しているか?」
ということになるのだろうが、さくらは、この
「五分前のオンナ」
を姉と位置づけ、
「五分後のオンナ」
を妹と位置付けるつもりだったが、物語をつづっていくうちに、
「どっちがどっちなのか、分からなくなっていた」
ということでもあった。
話を続けていくうちに、
「二人は姉妹だ」
と位置付けるところまではよかったのだが、書いていくうちに、分からなくなってきたのだ。
メモにでも書いておけばいいのだろうが、
「こんな簡単なことを書かなくたって、混乱するわけはない」
と思っていたのか、それとも、
「忘れるはずなどない」
という自惚れだったのか、混乱してしまったのだ。
そんなことをしていると、小説が途中で進まなくなり、
「いかがしたものか?」
と悩むようになった。
そこで考えたのが、
「もう一人、誰か登場人物を増やす」
ということであった。
では、
「一体誰を増やせばいいというのか?」
と考えた。
増やす場面としては、すでに、もう、
「転」
のあたりまで来ているではないか。
このまま、普通に登場させるか、最後の、
「結」
の部分に、持っていくか?
そんなことを考えていると、登場のさせ方が問題になってくる。
「いかなるシチュエーションにするか?」
ということを考えたが、
「五分後のオンナ」
のさらに、そこから五分後という時間に登場させるか?
と考えた。
あくまでも、最初の二人に、兄弟性はなく、
「五分後のオンナ」
の妹という登場のさせ方であった。
幸いにも、現状において、二人のオンナの関係性に対しては、言及していない。
というのも、二人の関係性はあくまでも、ネタバレの範囲として、
「結」
の部分にて結論付けるのが一番だということになるのではないだろうか?
そんなことを考えていると、最初に思っていたような、最後のシーンが狂ってくるのは、必定な気がした。
女の間での話とは別に、主人公である男が、
「どっちのオンナを選ぶか?」
ということであるが、
「五分後のオンナ」
を選ぶということは、さくらの中では決定事項だった。
その女に、妹がいた。
ということになると、今度は、その女もターゲットになる。
そうなると、今一度、裁定のし直しが必要となるが、その時のやり方として、
「一度、敗れ去った五分前のオンナも、もう一度、含めるか?」
ということであった。
結論として、さくらは、
「含めることにした」
ということであった。
一度リセットして、三人にすると、奇妙なことになるからあった。
二人であれば、何とか選ぶこともできるが、三人ともなると、
「三つ巴」
というべき、
「三すくみの関係」
を描いてしまうのだ。
それは、それぞれのオンナを線で結んだ時、その関係性において、
「優越」
を付けた時、まるでじゃんけんのような
「三すくみの関係」
になるということで、下手をすれば、
「永遠に決まらない」
ということになるのかも知れない。
それを思うと、
「結論が出ないことが、結論なのか?」
というような、おかしな発想を抱くことになるのだが、
だが、この問題を解決する一つの方法が思いついたのだった。
「あとから出てきた女を含めたところで、リセットする」
という考え方は、間違ってはいなかった。
しかし、結果として、
「三すくみになってしまった」
というのは、
「最後の結論というものを見る角度が間違っていたからだ」
というのを考えたのだった。
考えられることを考えたことで、それが、最善の方法であることが多くなればなるほど、いい発想が生まれてくるということであろう。
今回のラストも、そういうことだったのではないだろうか?
どのように考えたのかというと、実に簡単なことであった。
「リセットするのだから、最初の二人が同じ位置にいる必要がない」
ということで、設定を、
「五分前のオンナ」
と
「五分後のオンナ」
との間に、
「定刻のオンナ」
を置くということであった。
では、この定刻のオンナというのは、
「新たな登場人物か?」
それとも、
「五分後のオンナ」
なのかということである。
さくらは、どうしても、
「五分後のオンナ」
というものを無視することができなかった。
それは、
「五分前のオンナ」
とが直接結びついているということが大前提だった。
ということは、
「一体どっちが、中心に来るのか?」
ということを考えると、そこにいるのは、
「五分前のオンナ」
でしかないということだ。
二人の間に何人も入り込むことはできないといえるのだろうが、中心をどうしても、ぐ分後のオンナに仕立てたいと思うのは、
「五分後のオンナ」
が絶対的存在であり、
「左右に従える、従者がいる」
ということであった。
そして、ラストは、
「本当に、五分後のオンナというのは、この小説の中に存在したか?」
という命題を投げかけ、結局、
「その女は、現実世界に存在していた」
というオチになったのだ。
「この三人、いや四人の物語は、現実世界を巻き込んで、最後は、自分もこの中に入っている」
という発想で、最後に出てきた女というものを、
「自分として登場させたのではないか?」
と考えるようになった。
書き終えた小説がどうなったか?
さくらが、二十歳になった今、保険の外交員をやりながら、密かにブームになりつつあるということを、予知できるはずなどなかったのだ。
( 完 )
遅れてきたオンナ 森本 晃次 @kakku
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