第4話 ナイトウォーク

 ちょっと前話がアレだったので、綺麗な話を……。

 タイトルは、ファンタジーに出てくる騎士の名前ではありません。

 夜歩くことを〝ナイトウォーク〟と言います。


 歩くと言っても、もちろん、ただ歩くだけではありません。

 懐中電灯を片手に、蝙蝠こうもりの超音波を調べる小型機器〝バットディテクター〟を持って、人気ひとけのない山道を歩いたり、ダムの周囲(は大抵山に囲まれているので)の道路をドライブしたりします。……たまに、酒瓶持って歩いてるやつもいます(私か)。

 ちなみに、夜ドライブすることを〝ナイトドライブ〟と言います。

 そう、夜の哺乳類たちを探索するのです!


 夜行性の動物が多い哺乳類。

 夜になってからが、哺乳類班の本領発揮です!

(※昼間はウ●コ探しているだけなので、別名『ウ●コ班』と呼ばれてました。)


 話が前後してすみません。

 この懐中時計、ただの懐中時計ではありません。赤色のセロファン(透明な色紙みたいなやつ)を張り付けて、赤色の光を照らすようにしてあります。

 何故かというと、哺乳類たちの多くは、赤色が見えません。

 明かりがついていると、せっかくの野生動物たちが驚いて逃げてしまいますので、赤色の光で野生動物を探します。

 この赤い光を樹々の間に照らしながら歩いていると、きらんっと光る二つの目、これが野生の哺乳類です!

 主に見られるのは、シカ、タヌキ、テン、ハクビシン、アナグマ(レアです!)……北海道合宿へ行った時は、キタキツネにも遭遇しました。

 夜道、シカの尻毛を車で追い掛けるロマン! ⋯⋯はい、変態とか言わない、そこ。


 なんだ、そんなもの、わざわざ山なんか行かなくても、うちの地元でも見れるよ。

 ……と、思ったあなた。

 それは、大きな間違いです!


 家に出るゴキ●リ、見たことありますよね?

 実は、山の中にも居ます。

 そして、何故かやつらは、家で見る時は汚らわしく見えるのに、山で遭遇した彼らは、カブトムシやクワガタのような普通の昆虫に見えるのです!(いや昆虫なんだけどね。)


 例え話が汚いので話を戻します。


 つまり、家の近所で見える哺乳類と、山の中で彼らとの出会いを想像して期待に胸を膨らませながら邂逅できた時のあの瞬間!

 あの感動は、実際に経験してみないと分からないと思います。 

 

 全然、黒歴史っぽくないので、主題にうつります。


 〝バットディテクター〟と言うのは、蝙蝠の超音波を受信して調べる機械なのですが、これを持って私たち哺乳類班は、電気の消えたビジターセンター(山によくある施設です)の屋根を赤いライトで照らしていました。


 ……何故って? 蝙蝠も哺乳類だからだよ!!


 想像してみてください。

 人気のない山の中で、赤いライトと謎の小型機器を手に持った集団が(しかも皆黒っぽい服を着ている)、電気の消えた建物を物色している……どこからどう見ても、今から泥棒に入ろうとしているようにしか見えません。

 はい。なので、職務質問されました。人生、初です!


「君たち、ここで何をしてるんですか?」

「え……蝙蝠の観察です」


 まぁ、信じてもらえましたけどね!(嘘じゃないし!)


 どうやら、その時、近くでコンクリート詰めにされた死体が発見されたらしく(死体に縁がある)、警官の方がパトロールされていたようなんですよねぇ。


 ……いや、私たちが犯人じゃないですよ?!


 とまぁ、話せば長くなる大学ライフ。

 全く、花の女子大学生らしからぬ、黒歴史満載の大学ライフ!!

 それでも、とっても楽しかったですし、あの時の経験が今の自分の糧になっていることは確かです。


 他にも、イタチの仮剥製を作ろうとして、密室で臭腺を切っちゃった話とか、冷蔵庫にタヌキの死体を入れてて弟に怒られた話とか、変態な先輩たちの武勇伝やら(私の話じゃないけどね!)、色々ありますが……六千字に納まりそうにないので、このへんで〆ます。


 とにかく、私が言いたいのは……

 大人になってからじゃ、遅いんです!

 若い内にこそ、たくさん【黒歴史】を作ってください!


 ……と、綺麗に〆られましたかね?

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【黒歴史】その昔、山は宝の山じゃった。 風雅ありす @N-caerulea

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