宝鏡花子は、小学四年生の少女。クラスの輪の外で、淡々と日々を過ごしていた。そんな彼女に話しかけるのは、都市伝説好きの十文字ラムネ。
「六年四組の教室に入ると呪われるらしいよ」
ラムネが語るのは、誰も使わなくなったはずの"開かずの間"の話。そして、それと同じ頃、学校では次々と児童の行方不明事件が起きていた。
そんな中、花子は奇妙な"赤ずくめの男"と出会い、さらに不穏な空気が漂い始める。
何かがおかしい——この学校で、何かが起こっている。
過去に何があったのか? そして、「禁忌の遊びがしたくなる教室」の正体とは?
放課後の校舎に忍び寄る"見えない何か"に、二人の少女は静かに巻き込まれていく。
ホラーとしての新しい切り口が見られて、とても楽しい作品です。
本作では「空間」とか「領域」に特にスポットが当てられ、その場所で起こる怪異が次々と描き出されて行きます。
主人公となる切開四獄(せっかいし・ひとや)は『開かずの間』とされる場所を金の力に任せて「蒐集」することを趣味としており、その過程で怪異そのものとも向かい合うことになります。
「部屋」というコンセプトに限定して怪奇現象を紐解いてくれるため、「具体的にどんなタイプの話が登場するのか」と自然と想像力が刺激されます。
第一話は「こっくりさん」が中心となって小学生たちが怪異に苦しめられるようになっており、ここから「部屋に関する怪談というと、他にはどんなのがあるだろうか」と、ホラーファンならそこで立ち止まり、なけなしの怪談知識などを紐解きたくもなります。
そのように、モチーフ的にもとても魅力があり、更にキャラの独特さも相まって読者を飽きさせずにぐいぐいと物語に引き込んでくれます。
次は一体どんな怪奇な部屋が登場し、どんな現象が主人公たちを襲うのか。
怪奇なる部屋が、ホラーを愛する読者たちをもてなしてくれることでしょう。