第55話 少人数職場では大いに悪目立ちするADHD

今まで職務遂行能力の欠如を理由に追い出された職場がバイトも含めれば十か所ほどあるが、そういったところには共通点がある。


その会社、もしくは部署が少人数であることだ。


考えて見りゃその通りだ。

少人数の職場では各人のミスがすぐに目立つし、個々の能力が直接評価されるものな。

そういう環境では日々自分のADHDと戦いながら働かざるをえないのだ。

でも、その戦いはいつも敗北で終わってる。


毎朝、出社するのが憂鬱になってくるが、それが終わりのはじまりとなる。

「今日はミスをしないように」と自分に言い聞かせても、それでも注意欠陥・多動性障害(ADHD)を持ってる私は、ミスを避けることができないのだ。

時間がかかりすぎてなかなか資料が提出できなかったり、メールの返信を忘れたりすることも日常茶飯事なのだから。

少人数の職場では、このような些細なミスが一瞬で目立って、「できない奴」というレッテルを貼られやすいもんだ。


私は一生懸命に働いているつもりだけど、周囲の最低限の期待にも応えられない。

自己嫌悪と焦りが募る中で、同僚や上司の冷たい視線を感じるようになる。

自信を失って、何をしても無駄だと感じざるを得なくなってしまう。


タスク管理に注意を払おうと、スマートフォンのアプリ、メモやリマインダーを駆使しようにもその設定を忘れている、


毎回、ミスをするたびに「またか」と自分を責め続ける。

反省しても、次に活かすことができない自分に失望する。

ミスが積み重なるたびに、未来への希望は薄れていく。


職場でのコミュニケーションも苦痛だ。

同僚にうまく筋道を立てて分かりやすく説明できない。

他人に理解を求めることができない。

結果として、孤立感が増し、サポートを得ることもできない。

誰も私の苦労を理解してくれないと感じ、ますます自己嫌悪に陥る。


少人数の職場では、チームワークが求められるが、私の存在がチームの足を引っ張っていると感じる。

同僚たちにとって私は「できない奴」であり、お荷物でしかない。


このような絶望的な状況で働くことは非常に辛い。


未来に対する希望が薄れて、ただ日々をこなすだけの生活が続く。

ただ無力感と絶望感が募って、挑戦を続けたとしても、その先に希望が見い出せない。


こんな状況になったらもう終わりだ。

私はその職場全体から否定された空気を感じるようになるが、その空気は過去何度も味わったことがある。

解雇が言い渡されるか、辞職するように促される直前の空気だ。


そしてそのカンはいつも当たっている。


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