第45話 幼い我が子がいじめられたらどうするか?
「うちの子が学校でいじめられてましてね。どうすればいいと思います?」
私の知り合いの四十くらいの女がこんな相談をしてきた。
彼女は晩婚で三十代半ばで待望の男児を出産。
歳をとってからの子供なので目の中に入れても痛くないくらいの可愛がりようだった。
そんな彼女の愛しきわが子は現在小学一年生らしいのだが、幼稚園時代から他の子供たちによってたかっていじめられているのだという。
どうやら、私が幼い頃仲間外れにされていたという話を知っている彼女は経験者としての私の意見を参考にしようとしているようだ。
どうしたらいじめられなくなるかを聞きたいらしい。
そりゃ深刻だ。
幼い時にシカトされたりいじめられた経験は一生響く。
対応を誤ったらその後の影響は深刻になる可能性がある。
だが、はっきり言おう。
私に分かるわけがない。
第一、私は親になった経験がないのだ。
それにその子と私は別人格なんだから、私には有効であったとしてもその子には有害であるかもしれないではないか。
しかし、何をすればよいかは分からないが、何をしたらいけないかは分かる。
それはその子を責めることだ。
「いじめられるアンタが悪い」とか「いじめられるようなことするからだ」とか、ましてや「やり返しなさい」なんて言ってはならない。
できるくらいなら最初っからいじめられねえよ。
ましてや「相手にしたらだめ」と言うなんて無意味で無責任すぎる。
「相手するまで」やってくるに決まっているのが分からんか?
それと「どうしていじめられるの?」と子供に尋ねるのもいけない。
そんなの、その子が一番知りたいことだ。
知ってたらやられないだろう。
親のアンタがそれを聞いてどうする?
ちなみにウチの親は上記の禁忌を全部やった。
いじめられるってことは外部から自己否定されるってことだ。
それを続けられると内部からも自身を否定するようになるだろう。
それを子供にとって最もよりどころとなるべき親がやったら、その子はどうなるんだ。
一生自分のことを肯定できなくなるだろう。
私のように。
私の思う「やってはいけないこと」を知り合いの女性がどう思ってくれたか、はたまた有効かは知らないが、知り合いの子供だけでも私のようなダメ人間にしないための一助になれれば幸いである。
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