第44話 「お前にしか頼めない」と言ってくる奴は自分をナメてる説

「お前しか頼める奴がいない」


これまでの人生で何度も聞いた。

返す返すもムカつくセリフである。


あくまで私の経験上だが、これを言ってきた奴にロクな奴がいない。

言ってきたが最後、そいつとは絶交すべきであろう。


なぜならこちらのことを何でも言うことを聞いてくれる便利なアイテムと思っているとしか考えられないからだ。

私はうがった見方をしすぎなんだろうか?


だいたいそういうお願いをしてくる奴のお願いは絶対にやりたくないことである場合が多い。

「お前しか」と言っているが、それは数ある友人知人の中で特別に選ばれた栄誉だとでも?

思うわけないだろ、バカモン!


そもそもそういう奴は日頃はこちらをないがしろにしているものであり、最恵待遇している相手には絶対にそんなお願いはしない。

嫌われても構わないか、こちらを嫌うなんてよもやしないだろうという相手だからこそ、なんじゃないか?


ものすごくなめられている気がするだろう。


人のために何かをしたら、何らかの満足感というか、「いいことしたな」という気にならないこともないが、こういう奴らの言いなりになって頼みを聞いたりした後は何か大きなモノを盗まれた気分になる。

何らかの犯罪被害に遭ったに等しい悔しさすら覚える。


そういう奴らは多くの場合、やってもらったらやってもらいっぱなしか、すかさず厚顔無恥に次のお願いをしてくるもんだ。


「ありがとう」とか殊勝にお礼だけはするが、その真の意味は「サンキュー」ではなく「ウム、これでよかろう」か「次も頼む」であろう。

「このことは絶対忘れない」と言ってきた奴も過去にいたが、この意味は「お前は俺の便利なアイテムリストに掲載された」であった。


もはや「恩の万引き犯」か「恩の無銭飲食」である。


もっとも、その場で断ることができなかった私が一番悪いのだがね。




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