第41話 若い女性を見るとみじめな気分になる
モテなさすぎると精神に異常をきたすのであろうか?
街とかを歩いている時に若い美女を見た時の自分が考えることを思うと、いつもそう感じる。
明らかに異常で必要以上のことを考えて一人内心もだえ苦しむからだ。
この世には美女が結構あふれている。
街を歩けば通行人だったり店員だったりの何百人かに一人くらいの割合で「きれいな子だ」という女性に出くわす。
そしてそのたびに私はみじめでつらい思いに打ちのめされているのだ。
まず彼女たちを見た時、私は自らがもう49歳のおっさんであり、あのようなうら若き美しき乙女とはもはや縁が皆無であるという現実を感じざるを得なくなる。
過去においても、いや、今若かったとしても、魅力的な異性として認識されたことがほとんどない私は彼女のハートを手に入れる自信が全くないであろうことに落ち込む。
私が私である以上彼女とは縁がないのだ。
そして、彼女が多くの人から一方的に好かれる存在であることを想像すると、そのハートを掴む男とはどんな男か気になる。
そんな男がもし存在するとすれば、その存在が妬ましい限りで心が乱れ始めるのだ。
ましてやその女が彼氏と思しき男と歩いてたりしようものなら私の心理状態は羨望、嫉妬、自己否定感などなどが勝手に押し寄せてきて無茶苦茶なものになってしまう。
何より美女どころか女そのものと交際したことがない自分自身にも腹が立つ。
もちろん「おお、いい女だ」と鼻の下を伸ばして、自分が彼女をああしたりこうしたりする想像をすることも忘れていない。
ただ、私の場合は他の大多数の男と違うのではないかと思うことが一つある。
それは本来の男である私の人格が脳内で暴れ出すと同時に、私の内なる女としての人格もうずき出すのだ。
あのように若く、何より容貌に恵まれていたら、どんなに楽しい人生を送ることができただろうかと、底なしの羨望と嫉妬を覚える。
それにひきかえ自分はどうだろう。
おばさんだし、そもそも若いころから地味でパッとしないルックスがたたって男日照り。
恋愛らしいことなんか一つもしたことがないから、いまだ処女。
ああいう女を見ると自殺したくなる。
でも時々みじめな自分を慰めるためのことは…。
などと、余計すぎることを瞬時のうちに考えているのだ。
独りよがりというか思い上がりというか、どうしても勝手にそんなことを考えて勝手に苦しんでいる。
もはや広義において精神障害者であろう。
彼女たちに罪は全くないことは百も承知だが、この狂った私の本音をあえて言わせてもらおう。
美女たちよ、私を好きになる気も相手にする気もないのなら、私の前に現れないでくれ。
「どこへ行こうが私の勝手だ」とおっしゃるなら今いる場所を教えて欲しい、私はそこへ行かないから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます