第15話 前途が暗すぎて見えない

私は人様、特に若い人に顔向けできない人間である。

こうなってはいけないという最悪な見本の一つであることは間違いない。


考えてもみよ、49歳にもなってろくな社会的地位もなく、持ち家も車も妻子もなく、金もないし職も失った男を尊敬する者などいないであろう。


私が若者だったら間違いなくバカにする。

現に私は若い頃、何もかもない40代のおっさんが近くにいたけど、心の底からこうなっちゃいけないなとバカにしていた。

でも結局される側に回ってしまった。

生きているのが恥ずかしいのに生き続けている。


何でこうなってしまったんだろう。

なるようにしかならないとか、なるようになると思っていたらこうなってしまったのか。

こうなることが嫌で生きてきたつもりだったが、結局こうなってしまった。

運命だったのかもしれない。


私は20代の頃から住んでいる六畳一間のアパートでいつも酒を飲みながら悶えている。

20代から同じことをしている。


あの頃からすでに自分は何をやってもダメなんだということをいろんな職場で教え込まれた。

石の上にも三年というが、三年も私を載せてくれる石は少なかった。

この20年間重ねてきたのは経験や知識ではなく深い絶望だ。

それは年々深くなっている。


あの時の私が今の私を見たらこうなってはいけないと奮起するだろうか?

いや、きっと変わらないだろう。

逆に今の私があの時の私に会ったならば自殺を勧めるか殺す。

今の私が存在しないように。


それとも、60歳か70歳くらいになって後悔しないように今のうちに死ぬべきなのかもしれない。

その年齢になった時の私はもっとブザマどころか悲惨な境遇になっているに違いないのだから。


私の前途はもはや漆黒の闇すぎて見えない。

何年か前まであった闇をおぼろげに照らす、かすかな光源も今はもうない。



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