第3話 おいてけぼり
幼少の頃から気になっていたことがある。
他のみんなは分かっているのに自分だけ分かっていないことが多いことだ。
そして自分だけみんなと違う間違ったことをしている。
つまり、他人から言われたことを理解していないのだ。
「よく話を聞け!」
昔から何度も言われてきたし、今も言われる。
私だって真面目に聞いていたつもりなのだ。
しかし、耳から入ってから脳で処理されるまでの間に何らかの干渉が入ってしまうのか、間違った認識がなされて誤った行動として発現されている。
よって、何をやっても私の理解は遅れるかできないままである。
子供のころからいろいろな習い事をさせられたが、どれもこれも他の子より習得が遅れたか、最後までできなかった。
差をつけられたし、後から入ってきた者には抜かれた。
社会人になってからはそれが加速した気がする。
同年配の者はもちろん20歳くらい下の者でも、私ができなかった一般の社会人としてできなければならないことができる者は多い。
世界はずっと私を置いてけぼりにしている。
どころか私だけ別の世界にいるとさえ感じる。
追いつこうとしたこともある。
だが世界の進むスピードはずっと速く、ただでさえ遅い私の進むスピードは年々低下している。
もう疲れた。
私は最後尾でいい。
みじめな位置には違いないけど幼少の頃から親しんでおり、ひょっとしたらそこが私にとって一番居心地がいい場所なのかもしれないのだから。
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