第2話 居場所が欲しい
先週職を失った。
正社員前提の人材派遣会社による紹介予定派遣だったが、試用期間中に不適格と判断されて長く働こうと思っていた職場を追い出されてしまったのだ。
これは初めての体験ではない。
学生時代のバイトから通算して40回以上仕事を変えてきたが、解雇されたのは社会に出てから5回目、バイトも含めれば数知れない。
自分で言うのもおこがましいが、真面目に仕事はやっていた。
だが、自分でも認めざるを得ないのが業務の習熟が遅いことと、上司からの指示が理解できないことだ。
何度も聞き返すし、間違って理解していることが多く、ミスを連発してしまう。
当然すぐに使えない奴と判断されて叱責をいつも受けたり、周りから白眼視されるようになる。
一応私は会社に我慢できて仕事を続けることはできた。
だが会社は私に我慢できず仕事を続けさせるわけにはいかなかったようだ。
無職となったので仕事を探しているが、49歳の転職を重ねてきた男を歓迎してくれる会社などネス湖にネッシーがいる確率より低いであろう。
また、私のような人間を雇ってしまった場合、その企業の業務のパフォーマンスを一時的あるいは長期的に下げさせる大きな要因になり、必然的に冷遇されるであろうことも容易に予想できる。
だからこの年になっても働くのが怖い。
せっかく雇ってくれた会社にも迷惑をかけることにもなるだろう。
だが、働かないわけにはいかないのだ。
職を探さないわけにはいかないのだ。
私だって食べていかなければならないのだから。
居場所が欲しい。
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