最後の夏

幕間Ⅳ

 あの夏の日、君と出会ってから、全てが変わった。

 絶望の中に立つ私に、手を差し伸べてくれたあの日から。

 奇跡のような時間は、もう始まっていたんだね。

 だんだんと話しているうちに、私は君に惹かれていった――。



 ――あなたが、好きです。



 この想いは、想うだけ無駄かもしれないけど。

 私の初めては、全て君だったから。


 この出会いは特別?


 そんな言葉で片付けたくない。


 でも、偶然の出会いかと言われれば、私はきっと、首を横に振って否定する。


 私にとって、君との出会いは必然だと思っているから――。


 もし、君が私を忘れても。


 あの日、体育館で出会ったとき。

 廊下ですれ違ったとき。

 夏祭りで、君と花火を見たとき。

 中庭で、全てを話してくれたとき。


 その、全ての幸せを。



 ――私は、忘れません――。

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