第48話 初夜

「……」

「……」


 僕の心臓が、今までに無いほどに鼓動音を鳴らしている。

 一緒にベッドに座ったけど、この先はどうしたら良いんだろう……いきなり何かをしたらルーナさんのことを怖がらせてしまうかもしれないし、かと言って何もしなかったらそれはそれで良くないだろう。

 ベッドランプの光に照らされながら、僕がどうすれば良いのかと頭の中で考えていた────が。

 僕は、そんな余計なことを考えるのをやめて、ただ思っていることを口にした。


「ルーナさん……ルーナさんのことを、愛させてください」


 僕がそう伝えると、ルーナさんは嬉しそうに頬を赤く染めて言った。


「っ……!はい、もちろんです……私にも、アラン様のことを愛させてください」


 そして、僕とルーナさんは互いに優しく抱きしめ合うと、唇を重ねた。

 ルーナさんと触れ合っていると、本当に幸せな気持ちになれる……

 その後、何度かルーナさんと唇を重ね合っていると────僕は、その勢いでルーナさんと抱きしめ合ったままルーナさんのことをベッドの方へ押し倒してしまった。

 そして、一度互いに腕を離すと、僕はルーナさんの上に覆い被さる形となる。


「ル、ルーナ、さん……」

「アラン、様……」


 それからも何度か互いに唇を重ねると、ルーナさんはベッドランプに手を伸ばしてそのランプを消した。


「ルーナさん……?」


 僕がその行動に疑問を抱いていると、ルーナさんは今着ているものを脱いで、大人びた黒の下着姿を露わにしてから言った。


「今はとても月の光が出ているようですので、ベッドランプなど不要だと思ったのです……月の光の下で愛し合うというのは、とても素敵なことだと思いませんか?」


 そう聞いてくるルーナさんの黄金色の髪や色白で綺麗な肌や体は、月の光に照らされ────その姿は、本当に美しかった。


「……」


 僕が思わずそんなルーナさんに見惚れてしまっていると、ルーナさんが僕に呼びかける。


「アラン様……?どうかなされたのですか?」

「ご、ごめんなさい!ルーナさんが綺麗で、つい……」

「っ……!」


 僕がそう謝罪すると、ルーナさんは頬を赤く染めて言った。


「そういうことでしたら、構いませんので、お気になさらないでください」

「あ、ありがとうございます……あと────僕も、月の光の下で愛し合うのは、なんだかロマンチックでとても素敵だと思います」

「私も、そう思います……ですが、心より愛することのできるお方が存在しなければ、そのようなこともきっと素敵なこととは思えなかったのでしょう……ですから────私は、アラン様と出会えて、本当に幸せです……私の愛を受け止めてくださり、私のことを愛してくださり、本当にありがとうございます」


 ルーナさんは、とても優しい笑顔でそう伝えてきた。

 ────僕は、そんなルーナさんのことを思わず抱きしめて言う。


「僕の方こそ、ルーナさんに感謝を伝えたいです……本当に長い間、僕のことを想い続けてくださって、ありがとうございます……おかげで、僕はこうして、今ルーナさんのことを抱きしめることができています……本当に、ありがとうございます」


 僕がそう伝えると、ルーナさんはとても優しく僕のことを抱きしめ返してくれた。

 それから────唇を重ねて、互いの体に触れ合った後、僕とルーナさんは初夜を迎えた。

 僕はルーナさんのことが本当に大好きで、大切で、守っていきたくて、幸せになって欲しい────そのことを、心の底から強く感じることができ、ルーナさんも僕に同じことを思ってくれていることが、体の繋がりや心の繋がりから感じ取ることができた。

 僕はこれから、愛するルーナさんのため────そして、民の人たちのためにも、絶対に良い王になる!

 僕はそのことを、僕自身と目の前に居るルーナさん、お父様、お母様、そしてこの国全ての人たちへ向けて誓った。

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