第49話 成人
翌日の朝、目を覚ました僕とルーナさんは、朝の挨拶を交わすと服を着てソファで隣り合わせになって座った。
……昨日の夜のことを思い出すと顔が熱くなってしまいそうだけど、それと同時に────ルーナさんのことが、とても愛おしくなる。
僕がそう思っていると、ルーナさんが言った。
「アラン様……一つ、よろしいでしょうか」
「はい、なんでも聞きます」
僕がそう言うと、ルーナさんは嬉しそうに微笑んでから言った。
「実は……私、本日で十八歳────つまり、成人するのです」
「え……!?そ、そうだったんですか!?」
「はい」
そういえば、今まで誕生日を聞く機会がなかったけど、それが今日だったなんて……そうだ!
「そういうことなら、盛大にお祝いします!まず、料理長にたくさん美味しいものを作っていただいて────」
「いえ、私にはそのようなものは要りません……私が欲しいものは、ただ一つだけです」
優しい声でそう言うと、ルーナさんは僕の方へ体を寄せて言った。
「ご存知の通り、この国の結婚が可能となるのは成人をしてからです……そして、先ほどもお伝えしたとおり私は本日成人しました」
続けて、ルーナさんは言う。
「私は、今まで私が欲しいものは、アラン様のお傍に居られることだけだと思っていました……それさえあれば、それ以外のものは必要無いのだと────ですが、昨夜アラン様に愛されることを深く理解し、その考えが変わりました」
そう言うと、ルーナさんは目を閉じて、僕に身を委ねるようにしながら言った。
「私は、アラン様のお傍に居るのではなく、アラン様のお隣に居たいのです……私は、欲張りでしょうか?」
そう聞いてくるルーナさんに対して、僕はそんなルーナさんのことを優しく抱きしめて言った。
「いえ、欲張りではありません……僕も、ずっとルーナさんの隣に居たいですから」
僕がそう伝えると、ルーナさんは目を開けて嬉しそうに頬を赤く染めながら言った。
「では────待っていますよ、アラン様……成人して皇位継承権を得るとともに、私のことをずっとアラン様のお隣に居させてくださることを」
「はい……ルーナさんのことを愛して、ずっとルーナさんの隣に居ることを、僕は約束します」
「私も、アラン様のことを愛し、ずっとアラン様のお隣に居ることをお約束します」
それから、僕とルーナさんは唇を重ねた。
そして────約半年後。
いよいよ、僕が成人する日……そして、僕が皇位継承権を得る日がやって来た。
でも……それだけじゃなく、今日は────
「アラン様、お待たせいたしました」
ウェディングドレスを着たルーナさんは、玉座の間の扉前で待機している僕の隣へやって来てそう言った。
そう、今日は────僕が成人し、皇位継承権を得る日とともに、ルーナさんとの結婚日だ。
僕は、ウェディングドレスを着たルーナさんに、思わず見惚れながら言った。
「ル、ルーナさん……!と、とっても綺麗です!」
「ありがとうございます、アラン様もそちらの正装がとてもお似合いですよ」
そう言いながら、ルーナさんは僕の腕に自らの腕を通してきた。
そして、ルーナさんは続けて言う。
「とうとう、この日になりましたね」
「はい……本当に、やっとです」
「……アラン様は、ご緊張なされていますか?」
「少しだけ緊張しますけど────それ以上に、これから先がとても楽しみです」
「私も同じ気持ちです」
僕たちが互いの顔を見合って楽しく微笑み合うと、僕は言った。
「行きましょう、ルーナさん────僕たちの、新しい未来へ進むために」
そして、ルーナさんは微笑んだまま頷いて言った。
「はい……どこへでも、お隣でアラン様と共に居ます」
その後────玉座の間の扉を開けると、僕たちは二人で足を進めた。
僕が王族として民の人たちを幸せにして良い王になる人生、そしてルーナさんの夫としての人生が、これから始まろうとしている。
大変なこともきっとたくさんあると思うけど、ルーナさんが隣に居てくれるならこの先どんなことが起きても怖く無い────僕たちは隣で支え合って、愛し合って生きていく。
ルーナさんが十年もの間僕のことを想い続けてくれて、僕がルーナさんに会いに行ったことから始まったこの奇跡のような幸せを────大事に思いながら、ルーナさんと生きていこう。
本当に────愛しています、ルーナさん。
◇
この作品は、この話を持って最終話となります!
作者がこの作品に抱いている気持ちなどは、次エピソードで20時30分に投稿されるあとがきとして語らせていただこうと思いますので、ここでは手短に。
ヤンデレ聖女様の信仰している神様が実は僕で、とても狂愛されている件という作品をこの最終話まで読んでいただいた方々、いいねや☆、コメントをくださった方々、皆様本当にありがとうございました!
この物語を最後まで読んでくださったあなたのこの物語に対する感想をいいねや☆、コメントや感想レビューなどで教えてくださると幸いです!
また次エピソードに投稿されるあとがきや、別作品でお会いできることを楽しみにしています!
この作品を最後まで応援していただき、本当にありがとうございました!
◇
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