第27話 朝食

「おはようございます、アラン様」


 僕が目を覚ますと、僕の寝ているベッドに座っているルーナさんがそう挨拶をしてくれた。


「ル、ルーナさん、おはようございます」


 三日目ともなると、今までと比べれば朝起きた時にルーナさんが隣に居ることにも少しずつ慣れてきたが、やはりまだ少しだけ動揺してしまう。

 僕がそんなことを思いながら体を起こすと、ルーナさんが言った。


「アラン様、本日の朝食はお約束通り私がキッチンにてお料理を作らせていただきますので、アラン様は少しこの部屋でお待ちください」

「わかりました!ありがとうございます!」


 僕がそう言うと、ルーナさんは僕に優しく微笑んでくれてからこの部屋を後にした。

 ……ルーナさんの朝食は、昨日の夜からどころかその話を聞いた時から楽しみにしていたため、今からそれが食べられると思うと本当に嬉しい気持ちでいっぱいだ。

 そんなことを思いながらルーナさんの朝食を待っていると、時間はあっという間に過ぎて、ルーナさんがお皿を乗せた台を運んできて僕の部屋までやって来た。


「お待たせいたしました、アラン様」


 そして、それをテーブルの上に置くと、ルーナさんは僕の座っている椅子とテーブルを挟んだ対面に座る。

 目の前にあるお皿には、サラダやステーキ、スープなどがとても綺麗に並べられている。


「こ、これをルーナさんが作ったんですか?」

「はい」


 ルーナさんは、微笑みながら答える。

 見ているだけでも美味しそうだけど、見ているだけなわけにはいかないため、僕はルーナさんに聞く。


「……食べてみても良いですか?」

「もちろんです」


 笑顔でそう答えてくれたルーナさんのお言葉に甘えて、僕は早速ルーナさんの作ってくれた料理を食べさせてもらうことにして、まずはサラダから口につけた。


「お、美味しいです!」

「ありがとうございます……アラン様、良ければお肉もお食べになられてください」


 そう言うと、ルーナさんは切り分けられたステーキを僕の口元まで運んできた。


「え……?……こ、このまま食べても良いんですか?」

「はい……アラン様がお嫌で無ければ」


 それは、つまり……ルーナさんに料理を食べさせてもらえるということだ。

 ……ルーナさんとはもう寝食を共にして、入浴まで一緒にしているけど、やっぱり初めてのことをするのは緊張する。

 でも、ルーナさんがここまでしてくれているのに食べないわけにはいかないため、僕はそれを口にする。


「お、美味しいです!ルーナさん!」

「良かったです」


 ルーナさんは、嬉しそうな表情でそう言った。

 ……元々美味しいステーキだと思うけど────


「ルーナさんに食べさせてもらえると、もっと美味しく感じますね!」

「っ……!」


 僕が思ったことをそのまま口にすると、ルーナさんは頬を赤く染めながら言った。


「そ、そのようなお言葉をいただけるなんて……アラン様は本当に、お優しいのですね……ですが、そこまで言っていただけたのであれば、私も尽力させていただきます」


 そう言うと、ルーナさんは次にサラダを僕の口元に運んだ。


「ル、ルーナさん?」

「お食べになられてください!アラン様!」


 ルーナさんは、頬を赤く染めて微笑みながら、赤色の中にあるピンク色の瞳孔を見開いてそう言った……僕が美味しいと言ったから、優しさでそうしてくれているみたいだ。

 僕がルーナさんに言われた通りにそれを食べると────その後も、僕は続けてルーナさんに料理を食べさせてもらうこととなり、最終的には全ての料理をルーナさんに食べさせてもらうという形で喉に通すこととなった。



◇ルーナside◇

 ────はぁ……アラン様に私の料理を食べていただくことができるだけでもこれ以上ないほど幸せだというのに、私が直接アラン様に料理を食べさせて差し上げることができるとは……あぁ、アラン様……私はもう、アラン様への愛情を我慢できないかもしれません……

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