第12話 寝食
「え……?」
寝食を……共に?
僕がそのことに疑問を抱いていると、ルーナさんが言った。
「突然このようなことを言われても困惑なさると思いますが、一見突拍子も無いようなことに見えて実はそうでは無いのです」
今の僕には突拍子も無いように見えるけど、ルーナさんがそう言うならきっとそうなんだろう。
僕は、続けて話したルーナさんの言葉に耳を傾ける。
「私が以前アラン様に、アラン様の願いの実現のために協力させていただきたいと言ったことをお覚えになられていますか?」
「はい、あの言葉は嬉しかったので、もちろん覚えてます」
僕がそう言うと、ルーナさんは微笑んで言った。
「今回私がアラン様と寝食を共にさせていただきたいと言ったのは、アラン様のことをより近くでお力添えさせていただくためなのです」
「……なるほど」
そういうことなら確かに突拍子も無い話というわけではなさそうだ。
僕は毎日聖堂に行けるわけじゃないし、聖堂に行った日もそのあとで王城で用事があったりすれば長居することはできず、ルーナさんと一緒に居られる時間はどうしても制限されてしまう。
でも、もし寝食を共にするのであれば基本的にルーナさんとずっと一緒に居ることができ、ルーナさんが聖堂に用事がある時は王城から聖堂に向かえば良いというだけで、特に何も悪いことはない────どころか、普段からルーナさんに色々と協力してもらえるのであれば良いことしかないし、何より僕もルーナさんともっと一緒に過ごしたい。
「そういうことならお願いしたいです、王城には空き部屋があるのでそちらの部屋を使いますか?」
僕がそう聞くと、ルーナさんは首を横に振って言った。
「恐縮ですが、私を寝食を共にしたいと言わせていただきました……なので、アラン様さえ良ければ本日と同様に毎日同じ場所で眠らせていただきたいのです」
「え……!?」
今日みたいに、毎日同じ場所で眠る……!?
と驚いてしまった僕だったけど、寝食を共にするという言葉の意味を考えたらルーナさんの言った意味の方が自然だし、むしろその意味しかないだろう。
でも……やっぱり疑問、というか思うところはまだ残る。
「ルーナさんと毎日一緒に眠るなんて……僕は良いですけど、ルーナさんは良いんですか?」
「アラン様が良いと仰ってくださるのであれば、何も問題はありません」
そう言って、ルーナさんは優しく微笑んでくれた。
……今日から、ルーナさんと寝食を共にする。
ルーナさんと毎日一緒に寝たり、一緒にご飯を食べたりということを想像するだけで少し緊張して来たけど、それでも楽しみの方が大きい────
「……」
色々と考えていた僕だったけど、ルーナさんの方を見ながら今考えていた思考を止めた。
その理由は、ルーナさんが昨日から引き続き着ている赤のドレスの胸元あたりが少しはだけていたからだ。
さっきまでは会話に集中していたから全然気づかなかった……けど、少しはだけているぐらいなら僕はそれで思考を止めたりはしない。
僕が思考を止めてしまったのは────ルーナさんのドレスが、あと一秒後にはそのドレスがはだけて胸元を露出させてしまいそうになっていたからだ。
「ル、ルーナさん!」
僕は、咄嗟にそのドレスがはだけるのを止めるために身を乗り出してルーナさんの胸元に腕を伸ばし、そのドレスがはだけるのを防いだ────が。
「っ……!」
咄嗟のことでそのドレスだけを触ることができず、僕はルーナさんの胸をドレス越しとはいえしっかりと触ってしまった。
柔らかいけど、手には収まらないほど大きくて弾力なようなものも────じゃない!とにかく、この状況をどうにかしないと!
でも、僕がそう思った時にはもう遅く、僕は艶のある声を上げたルーナさんのことを身を乗り出した勢いでそのままベッドに押し倒してしまった。
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