第11話 ベッド
◇アランside◇
「……」
僕が目を開けると、見覚えのあるシャンデリアに見覚えのある白の天井が視界に入り込んできた。
いつも目を覚ましたら視界に映る、僕の部屋の天井……そして、ここは僕の部屋のベッドだ。
「あれ……?でも……どうして僕の目に映るのが僕の部屋の天井で、僕が眠っているのが僕の部屋のベッドなんだ?」
昨日は確か、船上パーティーが終わった後で、ルーナさんと一緒に馬車に乗って……そうだ、その馬車で僕は眠ったはずだ。
それなのに、どうして僕が目を覚ました場所が僕の部屋の天井なんだろう。
僕が現状を不思議に思っていると、ふと左足が何かに当たったような気がした。
「なんだ……?」
何か物に当たったっていうような感覚じゃなかったため、僕は何に当たったのかを確かめるために左隣を見た────すると、そこには黄金髪で綺麗な顔立ちをした女性、ルーナさんが、僕と同じ布団を被って僕と同じベッドで眠っていた。
「……え?」
僕は、その光景に思わず固まってしまう。
ど、どうして僕とルーナさんが同じベッドで寝ているんだ?
……その前に、どうしてルーナさんが僕の部屋に?
「おはようございます、アラン様」
「えっ!?ル、ルーナさん!?」
僕がルーナさんのことを見て色々と考えていると、ルーナさんが目を開けて僕に微笑みかけるようにしてそう言ったが、僕は驚きをそのまま口に出してしまった。
そして、動揺を隠せないまま聞く。
「も、もう起きてたんですか?」
すると、ルーナさんは優しい表情で言った。
「いえ、今起きました……起きたらアラン様が隣に居るというのは、とても幸せな気持ちになりますね」
「そ、そうですか……僕は正直、何が起きているのかわからなくて、今でも困惑しています」
「アラン様はだいぶ寝ぼけていらっしゃったようですから、困惑してしまうのも無理はありません」
────その後、僕とルーナさんはベッドに隣り合わせになるように座り、ルーナさんから昨夜のことを聞いた。
そして、それを聞いた僕は、ルーナさんに頭を下げていた。
「すみませんルーナさん……!まさか、そこまで寝ぼけてしまうなんて……」
「アラン様は船上パーティーのことで色々と思案していたようなので、それが無事に終了したとなれば安堵して深く眠ってしまうのは自然なことです、当然その流れで寝ぼけてしまうことも……なので、謝らないでください」
ルーナさんは優しい声音でそう言ってくれると、僕は頭を上げる。
「ありがとうございます」
そう伝えると、ルーナさんは優しく僕に微笑んでくれた。
その後、僕たちの座っているベッドに視線を送ってから、再度僕のことを見て言った。
「……私は、男性と同じベッドで眠ったのは本日が初めてなのですが、アラン様はいかがですか?」
「僕も初めて、です」
「そうなのですね……」
ルーナさんはどこか安堵したようにそう呟くと、続けて頬を赤く染めて言った。
「私は、アラン様が初めてのお相手でとても嬉しく思っています」
そう言ってくれたルーナさんに対して、僕も正直に思っていることを伝えることにした。
「僕も、ルーナさんのような綺麗な女性と────いえ、その……ルーナさんと同じベッドで一緒に眠ることができて、嬉しく思います」
言い直すのは少し恥ずかしかったが、麗な女性じゃなく、ルーナさんと眠れたことが嬉しいと言い直して伝えると、ルーナさんはさらに頬を赤く染めた。
「私も、アラン様が王族の方だから嬉しく思っているのではなく、アラン様がアラン様だから、嬉しく思っています」
「あ、ありがとうございます」
そして、僕とルーナさんの間に今までに無い空気が流れると、ルーナさんは頬を赤く染めたまま言った。
「アラン様……一つ、ご提案があるのですがよろしいでしょうか?」
「はい……なんですか?」
「よろしければ────本日から、私と寝食を共にして生活いたしませんか?」
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