第10話 眠気

◇アランside◇

 船が港に着いたので、僕とルーナさんは船から降りて、港にあった馬車の前まで歩いてくると、僕とルーナさんは一緒にその馬車に乗った……ルーナさんと隣に座っていて、肩と肩が触れ合っている。

 そして、僕たちが馬車に乗ると、馬車は進み始めた。


「とても楽しい時間だったので、その時間がもう終わると思うと少し悲しいですね」


 ルーナさんは、どこか寂しそうにそう言った。

 ……僕も、この船上パーティーの話を聞いた時は、たくさんの女性からアプローチされるということでどうそれを乗り切ろうかということで頭がいっぱいだったけど、いざルーナさんと来てみると、それはとても楽しい時間に変わっていたから、ルーナさんと同じ気持ちだ。


「僕もそう思います……でも、今日でルーナさんのことがまた今まで以上にわかったと思うので、僕はそのことが本当に嬉しいです」

「アラン様……!」


 ルーナさんは、赤の目の中にあるピンク色の瞳孔を見開いて嬉しそうな表情をした……が、その後で少し落ち着いた表情をして口を開いた。


「……アラン様に一つご確認させていただきたいことがあるのですが、よろしいですか?」

「はい、なんですか?」


 僕がそう聞き返すと、ルーナさんはどこか暗い声音で言った。


「アラン様は、女性と個人的にお関わりになられることはあるのでしょうか?」

「え……!?」


 女性と個人的に関わる……!?


「ど、どうしてそんなお話を!?」


 まさかルーナさんからそんなことを聞かれるとは思ってもいなかった僕は、かなり驚いてしまった。


「アラン様は、先ほどたくさんの女性からアプローチされていたので、日頃からもやはりたくさんの女性からアプローチされているのかなと思い質問させていただきました」

「そ、そうですか」


 僕は、ルーナさんの雰囲気からあくまでも日常会話だということを感じ取ったため、それに合わせて心を落ち着かせて言った。


「王族という生まれなので、女性にアプローチされることはありますが、自分の第三王子としての務めを果たすことで手一杯なので女性と個人的に関わることは無いです」


 僕がそう言うと、ルーナさんは明るい声音になって笑顔で言った。


「そうなのですね!アラン様が日頃から努力なされていることがわかりますね!」

「あ、ありがとうございます」


 どうして突然明るくなったのかはわからないけど、ルーナさんは褒めてくれているみたいだから僕はそのことに対して感謝を伝える。

 それからもしばらくルーナさんと雑談をしていると、僕は少しだけ眠たくなってきた……今日は船上パーティーがあった上に、今はもう普段なら眠っている時間だから


「少しの間、お眠りになられますか?」


 僕が眠たいと感じていることに気づいたルーナさんが、そう気遣ってくれた。


「いえ……大丈夫です」


 そう言った僕だったけど、思った以上に眠気が来ているみたいだった。


「……本日は色々とお疲れでしょう、王城に到着したら起こさせていただくので、今はゆっくりと眠ってください」


 ルーナさんは優しい声でそう言ってくれた。


「わかりました、では、少しだけ……眠ります」


 その後、僕はすぐに眠りへと落ちた。



◇ルーナside◇

 ルーナは、隣で眠り始めたアランのことを見て、大声を上げてしまいたくなるほどに嬉しくなっていた。


「あぁ、我が主が私の隣で今眠りにつかれて……あぁ……」


 ルーナはしばらくの間眠っているアランのことを見つめてから呟いた。


「アラン様……そのような可愛らしい寝顔なんて見せられたら、私……」


 ルーナは思わずその唇を奪ってしまいそうになったが────


「ダメよ、私……眠っている間になんて、それは浅ましい行為……ですが、願わくば────我が主よ、願わくば、いつか私にこの先をすることをお許しください……」


 その後、ルーナが一人アランへの愛を呟いていると、馬車はあっという間に王城へと到着した。


「アラン様、王城へ到着しました」

「……あと少しだけ、眠らせて、ください……」

「……」


 ────アランの意識は極度の眠気のせいでかなり朦朧としていて、そんな状態のアランのことを一人で歩かせるわけにはいかないと思ったルーナは、アランのことを連れて王城の中へ入った。

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