第15話 三人の幽霊達①
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「なぁ、べーやんにザエモン。あれはレイじゃないかい?」
お松がひと際声を潜めて二人に言った。
「ええ? 言われてみりゃァよく似てますが……。いや、松代のアネゴ、レイは男ですぜ」
「左様。他人の空似ではござらんか?」
べーやんとザエモンがそろって顔を突き合わせ、首を傾げる。それを見て、お松は、ハァッと大袈裟にため息をついた。
「まったく、男共の目は節穴なのかねぇ。レイはどこからどう見たって女の子だろ。どうして気付かなかったんだい?」
「えぇっ?! 女ァ?! 逆にどうして松代のアネゴはわかったんです?」
「うむ。その方が不思議でござる!」
「まったく、男共はこれだから。いや、そんなことより、レイだよ、レイ。ここ数週間、とんと姿を見せなかったレイだ」
どうする? と少々どすの利いた声でお松が二人に問う。
「どうする、ってェ言いますと……?」
べーやんが、ごく、と喉を鳴らす。
「よもや、ユウ殿を悲しませた罰を与えるつもりでござるか? 相手は子どもでござ――ぁ
腰に下げた刀にそっと触れ、物騒なことを言い出したザエモンを、「お馬鹿!」とぽかりと殴る。
「罰なんか与えるわけがないだろ?! どうして急に来なくなったのか理由が知りたくないか、ってぇ話だよ。レイが自分の意思で来なくなったんなら仕方ないけど、何か事情があるかもしれないじゃないか。だからあたしがちょいと聞いてくるよ。こういうのは女同士の方が良いもんだ。ユウには適当にごまかしといておくれな」
「わっかりやしたァ!」
「うむ。そういうことならば承知
じゃ、ちょいと行ってくるよ。
そう言って、お松はこっそりと屋敷の中へ入っていった。
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