トマトカレー
あなたが作ってくれたお夕飯
とってもおいしかったよ って
あの日 私が言ったとき
眼鏡の向こうで目を細めた あなたの顔
もうはっきりと思い出せない
ベッドに横たわる あなたの手を握って
また来るね なんて私は言ったけど
あんなに早く戻って来ることになるなんて
あなたは覚めない眠りに落ちていて
何にもお話できなくて
おつかれさま って
蒸しタオルで拭いてあげた あなたの手は
まだ温かかったけど 少し重たかった
その日にはきっと家に帰るから って
私と約束したはずの日に
あなたは真っ白な骨になって
私のお箸の上で押し黙っていて
何にもお話できなくて
あなたが作ってくれたお夕飯
とってもおいしかったよ って
もう一度 言ってあげたかったのに
眼鏡の向こうで目を細めた あなたの顔
もうはっきりと思い出せない
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