第7話
「俺が、そのここら一帯を取り仕切るリーダーなんだ!」
男は、目を見開きながら、精いっぱいの声を張り上げて叫んだ。首筋に血管が浮き上がり、顔が紅潮している。
「ふ~ん…」
レプトンは、腕を組み、真っすぐと男の目を見つめながら、低い声でうなずいた
「それで、どうしてくれるんだ?」
「船員をよっ用意しよう。すぐに用意してやる!だから、投獄はやめてくれ!」
「わかった」
レプトンはにやりと笑いながら、ゆっくりとした声の調子で返事をした。
船には早急に荷物が積み込まれていく。船員を調達できたことで、あとは、幻鳥が生息するとされる島に向けて出発する段階に入ったのだ。
積み荷がどんどん積まれていくのを見て、マルクはとても高揚として浮足立っていた。
これまで航海にでたことは一度もなかった。つまり、これが初めての航海となるのだ。
「航海にでるときはいつもワクワクするんだよな。自分たちの航海が上手くいくか行かないか、それを考えるだけで頭の中が興奮してくる」
真横でレプトンが落ち着いた声で船を見上げながら、つぶやいた。
「ええ、この航海が上手く行くことを心の底から願ってますよ。ああ、早く船に乗りたいなぁ。もう乗ってもいいですか?」
「えっ!ああ。少し早いが乗っても構わないぞ」
2人はゆっくりと船にかかっている梯子に向かって歩き出した。
太陽がめいっぱい輝く青空の下で2人の航海はついに始まるのだ。
やがて、この航海が終わるころには、2人の名が幻鳥の発見者として後の世に語り継がれ、伝説となることをこのときの2人はまだ知らない。
幻鳥 陸造 @rikuzoucomic
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます