第50話
目を覚ますと、太陽はもう高い位置まできていた。
昨晩目覚めたときよりもかなり体が軽くなっているように感じる。
上半身を起こしてみても、だるさはほとんど感じなくなっていた。
ドアが開く音に振り替えるとフレアが入ってきた。
私が起きていることに気が付いてすぐに駆け寄ってくるフレア。
「マリアお嬢様!お目覚めになられたのですね!あぁ本当に、ほん、とうに、よかっ……」
ベッドの側に来ると、フレアは涙で言葉が続かなくなってしまった。
「フレアにも心配をかけたわ、ごめんなさい」
「いえ、いえ、お嬢様が謝ることではございません。悪いのは犯人です!」
「……フレアは犯人を知っているの?」
「聞きました。それについては、旦那様からお話があるかと」
(使用人であるフレアが勝手に話すことを止められているのかもしれない。だとしたら大物が関わっている可能性があるわ)
果物のペーストや野菜のポタージュを軽くとったあと、程なくしてライオネル様がやってきた。
「体調はどうだ?顔色は大分良くなったようだが」
「昨晩目が覚めたときに比べると、体が軽くなってだるさもほとんどなくなりました」
「そうか、良かった」
「もう大丈夫です。話を、聞かせてください」
ライオネル様は「そうだな」と言ったけど、少し躊躇うように視線を下げた。
ふぅと息を吐いてから再び顔を上げた。
「―――……マリアベルが毒を盛られた理由は、ゴルバード公爵の王太子廃嫡計画の一端だった」
「そう、ですか」
(ローズ様…………)
ゴルバード公爵はローズの父である。
忠臣で知られている人物で、前王時代から仕えている。
大臣として重要な役割を担っていた。
しかし、忠臣に見えた公爵は実は上昇志向の強い人物で、娘を王妃にしたがっていたのだ。
ライオネルとダニエルは、マリアベルが以前体調を崩しだしたときに何か変化がなかったか、すぐに調べ始めた。
ローズのことを疑っていたライオネルは、真っ先にローズが侍女として王宮にやって来た時期を調べさせた。
しかし、ローズが王宮に侍女としてやってきたのは、マリアベルが頻繁に体調を崩しだす半年以上前だった。どんなに調べてもその頃には特段変化がなかった。
次に、マリアベルが頻繁に体調を崩し出した時期に何か変わったことがないか調べた。
すると、王宮への付き添いをしているローズ侍女がその頃に変更されていたことがわかった。
更に、同じ時期に厨房に今回の王太子廃嫡計画に加担した伯爵家に連なる者が働き出していたことも判明した。
厨房で働いていた者はライオネルやダニエルが調べ始めた事を嗅ぎつけ、急に辞職を申し出ていた。
しかし、怪しすぎるタイミングでの退職希望は保留にされた。
退職の許可が下りれば僅かだが退職金が支給されるが、それも待たずに城を出ようとしたので拘束し尋問したところ、あっさりと吐いたのだった――――
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