第3話 真実との対峙
早瀬は「別の世界」に足を踏み入れた。
灰色の空の下、歪んだ景色が広がる中、彼は藤村の姿を探した。
「藤村さん!どこにいるんですか!?」
絶望的な雰囲気の中で、早瀬の声だけが虚しく響く。
そのとき、ふいに視界の端に人影が現れた。
「早瀬君…よく来てくれた」
藤村は憔悴しきった表情で、早瀬に微笑みかけた。
二人は歪んだ世界の中心で向き合い、真実に迫る。
「藤村さん、『別の世界』の謎を解く鍵は何なんですか?」
「鍵は…私の中にある。100年前、私は多くの魂を犠牲にした。私の贖罪こそが、この世界を元に戻す唯一の方法なのだ」
藤村の目には、深い悲しみと覚悟が宿っていた。
早瀬は彼の決意を理解し、共に戦うことを誓った。
◇◇◇
早瀬と藤村は力を合わせ、「別の世界」に囚われた魂を解放するため奮闘した。
彼らは一人ひとりの魂に語りかけ、その無念を晴らしていく。
「もう苦しむ必要はありません。安らかに眠ってください」
早瀬の言葉に導かれ、魂たちは次々と光となって消えていった。
世界は少しずつ歪みを失い、本来の姿を取り戻していく。
「藤村さん、やりましたね。魂たちは解放されました」
早瀬が振り返ると、藤村の姿が薄らいでいることに気づいた。
「私の役目は終わったようだ。早瀬君、本当にありがとう」
藤村は安堵の表情で微笑み、光の中に消えていった。
彼の犠牲によって、町に平和が戻ったのだ。
◇◇◇
事件から数日後、早瀬は穏やかな朝日を浴びながら町を歩いていた。
町は以前の平和な姿を取り戻し、人々の笑顔が輝いている。
「藤村さん、あなたの願いは叶いました。この町に、再び希望が戻ってきたんです」
早瀬は空を見上げ、藤村への感謝の気持ちを胸に刻んだ。
彼はこの一連の出来事を通して、真実と向き合うことの大切さを学んだのだ。
「僕も、新しい一歩を踏み出さなくちゃ。真実を追求し、人々の心に希望を届ける。それが、僕に課せられた使命だ」
早瀬の瞳には、新たな決意の炎が宿っていた。
彼はこれからも記者として、真実の光を照らし続けると心に誓ったのだった。
そして物語は、新たな朝を迎えた町の光景とともに、幕を閉じるのだった。
(完)
眼鏡越しの真実【KAC20248】 藤澤勇樹 @yuki_fujisawa
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