外伝:私とジャージ先生の作文授業

ジャージ、男性器を意味する「ジャジ」に伸ばし棒を付けたその名称があだ名になっている、あの先生は、エロ小説で全国に報道された人物でもあった。


当時はそんな時代だった。小説は、抵抗の精神みたいなもので、愚民どもを啓蒙するために…とか、共産主義とか、誰だっけ…なんか共産主義の偉い人の思想を紹介するような本だったり、そういうものがいっぱいだった。だからエロチックとか、快楽とか、そういうものはあまりいい目で見られてなかったのだ。

その時代で、大衆に読みやすい文体で書かれた、あの小説は、結構話題になっていたようで、せん…なんとか性?が激しいという理由で、禁書になったらしい。だからジャージ先生がどんな小説を書いていたかは、私もわからないし、その本の話をするのは、悪いことだと、大人たちは言っていた。

ジャージ先生も、最初はジャージ先生じゃなかった。普通のJ先生で、国語を教える、なんかワードチョイスがおかしいところがあるけど、なんか、率直なタイプの人だった。クラスの女子の間では、そこそこ人気があるか、ないかくらいの顔で、不器用な、なんかおかしい先生。

そんなJ先生が、いつの間にかジャージ先生になっていた、噂があって、その噂が広がって、みんながJ先生をジャージ先生と呼ぶようになった。


少し、嬉しかった。すべてが、計画通りになっていたから。

先生を脅して、遊ぶことも楽しかったけど、すべてが露になって、すべてがみんなに知られて、すべてをなくしてしまった彼が…

いや、すべてではないわ。私以外、すべてをなくしてしまった彼を…これからじっくり観察できるようになったから。


私だけの、ジャージ先生を。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

私の告白:人殺しの時効 さばだに @sabadani

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ