第12話:Aftermath

「それでは授賞式を開始します」


軍歌を奏でるオーケストラ、整列した陸海空の兵士たちに囲まれ俺ら第五艦隊と第三艦隊の艦長及び副艦長は祭壇へ歩き出した。今回の作戦の参加した兵士は大凡1万6千人、内戦死者は4千人までに及ぶ、軍艦は7隻失った。戦後にこれほどの兵と軍艦を失ったのは軍司令部からしたら相当の痛手だろう。

「イワン旗艦長、綾風第二旗艦長、君達の奮闘は我らの地球を救ってくれた。ありがとう」


モルド・グライズ元帥めぇー!外面だけはいいやろうだぜ全く!

握手をしたあと、モルド元帥から直々にメダルを貰った。元帥に敬礼をし、正面の兵士にもした。派手に拍手とシャッターでこの授賞式は満たされた。

解散され、民衆と記者に囲まれながらある人を探す。

「メイソン!」


聞き慣れた声、待ち焦がれてた声、それは間違いなくアマンダだ!

「アマンダ!」


「メイソンここよ!」


やっと会えた、長かった、本当に。久しぶりに会ったせいか、ハグした勢いでキスまでしてしまった。民衆の前だというのに。だがアマンダは恥ずかしながらももう一回した。

「もう… 待ちくたびれたんだから…」


「ああ、すまない。今度こそちゃんと式をあげよう」


こうしてこの戦争は幕を閉じた。この数週間後、俺とアマンダの式を上げ盛大に祝った。式には第三艦隊からも来てくれた。

「ということだ、見舞いが少し遅くなって悪かったよ、扇原」


ハワイの軍専用墓場の一角に位置する朱ヶ崎扇原あかげさき おうばらの墓場。英雄ということもあり、他のより大きい。

「今度キルケー君は新しく建造される戦艦の艦長を務めることになった。軍も戦艦の需要にようやく気づいたらしい。マークスマンさんは軍を引退して地元に帰ったってさ」


帰ってこない返事を待つかのような間、確かにそこにいると思いたかった。

「じゃあ俺は行くよ、また来週な。今度はお前の好きな柿の種持ってきてやるから」


そうして重い腰を上げる気持ちで立ち上がり、そこから見える絶景を見た。ちょうど崖の上ということで、海が綺麗に見える。泣きそうな気持ちを抑え、その場を後にする。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

地球防衛録 不細工マスク @Akai_Riko

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画