第6話 エピローグ

 気が付くと、そこはいつもの街だった。人々がせわしなく動き、時の流れが存在していた。


「夏樹……、俺たち……」


「遥希、夢だけど……夢じゃないよね?」


「「……すごい……」」













 ―数時間後―


 暫く二人はおんなじようにぼーっとベンチ座って夢を噛み締めていた。


 を――……。


 そして、やっと目覚めたかのように、なんの合図も無く夏樹が口を開いた。


「私、清愛ちゃんに出逢って、心をもらった気がする」


 その呆然とした顔と、しっかりとした記憶の言葉に、しかと遥希は応えるのだ。


「おう。俺も。勉強しようと思う」


「そうだね。私は明日、はなちゃんたちと久しぶりにカラオケに行くよ」




 夏樹は、これから、少し素直になってもしかしたら子供っぽくなるかも知れない。


 遥希は、これから、少し自信を持ってもしかしたら将来を考えるかも知れない。


 二人は、そんな何とも言い難い寂しさとも、嬉しさとも違う、後悔とも、不安とも言える、あの不思議なで出逢った清愛との時間を、しばらく、もうしばらく、そこで過ごしていたい気分だった。叶わないと、知っていても。








 そうして、二人のしあわせの國の物語は終わったのだ。







 二人の心に、確かなを刻んで――……。

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僕らのしあわせの國 @m-amiya

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