君の隣にいられるならば

ひなた

第1話

人生で1番の恋をしたー。



高校2年生の夏。

教室には、一年生の時にあった初々しさはなく、かといって高校三年生のような大学受験に対してのピリピリした空気は無い。

高校生の中で1番と言っても過言ではない青春をすることのできる年齢だと思う。

私は、真剣に恋をしたことがあまりない。

気になった人ができて、その人をチラチラ見て、その人に告白されるわけでもなく、告白するわけでもない。

友達に相談さえしなかった。恋をしてみたい。

真剣に恋愛してみたい。

そう思っていた。

朝のSHRが始まる5分前に教室に入り、友達と少し談笑してチャイムをなるのを待つ。

SNSで話題のお菓子や音楽について話したり、噂話をしたりする。

チャイムがなり、急いで自分の席に戻ると先生が教室に入って来た。

そして、朝のSHRが始まった。

今日からうちのクラスに転校生が来るそうだ。

高校2年生の夏から転校なんて不思議だなーなんてぼんやり考えていた。

「今から、転校生を紹介する。入ってくれ。」

先生がそういうと転校生が入ってきた。

スラットしていて、髪がサラサラ。

モテそうな雰囲気を醸し出している男の子が教室に入ってきた。

「平尾悠真です。よろしくお願いします。」

特に、長々自己紹介をせずに頭を下げた。

きっと緊張しているんだろう。

彼の表情から何だかそういう気がした。

彼は、先生から席を案内してもらい私の二つ後ろの席に座った。

彼が、私の席の横を通ると彼の香りがした。

彼の香りは、とてもいい匂いで私の好みの匂いだった。

彼が席に座ると、先生はSHRの続きをした。

今日は、数学の課題の提出のため、今から課題を集めるそうだ。

数学係の私は、クラスメイトの課題を職員室に持っていかなければならない。

そう思うと思わずため息が出てしまった。

朝のSHRが終わり、友達が話しかけてくれた。

「真奈ー?あんた数学係でしょー?課題を職員室に持っていくの手伝うよー?」

友達のそんな声が聞こえた。

「まじ神。ガチありがとう」

私は、友達に感謝に一緒に課題を出しに行くことにした。」

「すると、私の好きな香りがした。

「あの、俺課題ないんすけど、どうしたらいいんすかね?」

声が聞こえる方を向いてみると転校生の彼が私に話しかけてくれた。

内心びっくりした。彼が私に話しかけてくれるなんて。

なぜか嬉しかった。彼が私に話しかけてくれたことが。

「あー。確かに。どうしたらいいんだろ。一緒に職員室に行って数学の先生に聞いてみる?」

私がそういうと彼は私に感謝の気持ちを伝えてくれた。

「その課題、一緒に持っていいこうか?」

彼が私に言った。

でも、友達が手伝ってくれる為断ろうとすると、手伝ってくれる友達が言った。

「平尾くん行ってくれる?私が行こうとしてたんだけど、平尾くんの方が力持ちだから真奈の役に立てるかもね。ちゃんと持ってってよー?真奈は、可愛くておっちょこちょいなんだからちゃんとみてあげてよー?」

そう早口で言った。

「可愛くておっちょこちょいは余計かなーー??」

私がそういうと彼が口を開いた。

「そんな感じするかも。ちゃんと真奈さんをみておくね」

彼がそう言った。

彼が、私のことを真奈さんって言った。

そこがとても衝撃的だった。嬉しくて、心臓がキュンってなる感じがした。

そうして私と彼は、数学の課題を職員室に運んだ。

彼は、数学の先生と少し話すみたい。

だから、私は1人で教室へ帰った。

1時間目が始まる前、彼の声が聞こえた。

彼が私の後ろにいる男子に声をかけられたみたい。

「お前平尾っていうん?」

「うん」

「なんか聞きたいことがあったら言えよ?」

「じゃあ...」

彼は、少し止まった後話し始めた。

「俺の二つ前の女の子の名前ってなんていうの?」

けれがそう言っているのが聞こえた。

嬉しかった。彼が私にのことを知りたがっていることが。

彼が私のことを知っていることが。

私は、ここで気づいてしまった。



彼に本気の恋をしたー。

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