🍴第二十話🍴 青い地球

 「う、う――ん、お菓子ぃ」

 「クラムお姉ちゃん」


 シャイニーが起こしに来た。

 いや、違うハナだ。

 女神の笑顔に大感動!

 これからもハナに起こしてもらおう。



 「こら!行くわよ!」

 「えっ!?朝ごはんは?」

 「お弁当よ?」

 「そんなぁ――――!」


 ウチの朝ごはん、シーユー…。

 ウチは着替えて宇宙船乗り場に行く。

 

 「おお、待っていたぞぉ」


 社長の声にウチ達はホッとする。

 ああ、社長の顔がジャガイモに見えて来た。

 このシワシワ感、まさしくジャガイモ!

 うう、そう言えば朝ごはんを食べていない……!

 空腹が…。

 

 「ビートがぁ、操縦士ィとしてぇ付いてゆぅくぞぉ」

 「「「えっ!?」」」


 ビート先生が付いてくるの?

 つまり…ビート先生の激怖鬼レッスンからは逃げられないってこと――?

 イヤだ―――……!


「クラムちゃんっ」

「あ! ミルキ~~~~!」


 ミルキーが来てくれた!

 ウチは感激!

 

「ミ゙ル゙ギィ~ごれ゙がら゙ばあ゙え゙な゙い゙の゙~!」

「いや、私達二年後に会えますよ?」

「えっ、ぞゔだっげ」


 う~、ミルキーはウチとの永遠の別れに悲しんでない――っ。

 

「私にはクラムちゃんが地球で活躍している未来、ちゃんと見えてますよ」

「え!?」


 そ、そうか。

 ミルキーは未来予想の魔法があるんだった。

 だよ、ジュルルッ。

 

「はい、これ」


 ミルキーが大きな袋を渡してくれた。

 これは、ま、まさか……!

 

「飴!?」

「はい、そうです」

「ありがと―――」

「そんな、お礼言われることしてないです。ホームシックにならないように作りました。まあ、クラムちゃんのことですから、行きの宇宙船で食べきるでしょうけどね」


 ギ、ギクッ。

 いや、そんなことは……無い、とは言えないなぁ。

 アハハ…ッ。

 ミルキーの優しさが胸に染みる。

 それから五分ほど別れを惜しんだ。

 ハナはヴァイオちゃんから手作りのマスコットを、シャイニーはピアノちゃんから髪飾りをもらっている。

 

「さあ、そろそろ行きますよ」


 ついにこの瞬間が来たんだ。

 ゔ…、さびしいっ。


「こら、泣いちゃダメよ」


 ウチは余計に顔をゆがめる。

 ハナも涙を目に溜めた。


「じゃあね」


 ウチ達は宇宙船へ歩きだす。

 途端に、


――プパーーッ


 と音楽が流れた。

 振り返るとピアノちゃんとヴァイオちゃんが演奏していた。


 「クラムちゃん、頑張って――」

 「ゔ…………」

 「「「「「スリービージュ、応援してるよ!」」」」」


 今度は別の声。

 チ、チョコレートボックス!?

 嘘、いつの間に!?


「三人とも頑張ってね!」


 次の声は、コリーちゃん!

 コリーちゃんまで来てくれたの……?

 鼻がツンと痛む。


「スリービージュ!」「二年後楽しみにしてるよ~」「ありがとうっ」


 そう言うファンの皆の声が耳に入る。

 

「ハナッ頑張って――」

「ヴ、ヴァイオちゃん?」

「シャイニーちゃん!」

「ピアノ……」


 皆……。

 

「皆、ありがとう!ウチ達は頑張るぅ~」

「頑張るよ!」

「待っててねっ」


 ウチ達が叫び返した。

 ウチ達はたくさんの妖精達に見守られながら宇宙へと旅立った。



☆🍴❀☆🍴❀



 七時間後。

 

「あっ、地球が見えて来た!」

「え?本当?」


 窓から見える青い星。

 宝石みたいに輝いている。

 

「地球のよう………じゃなくて人は、妖精のこと手のひらサイズだと思っているらしいよ」

「へ~じゃあウチ達は妖精のアイドル………」

「フェアリーアイドル、だね」


 ウチは頬を熱くする。

 宇宙酔いをしていたけど、すぐに治っちゃった。


「ね、あれやらない?」

「良いね!」

「宇宙でやるの……奇跡じゃない?」

「そうだね」


 ウチは宙に体を浮かばせながら、手を差し出す。

 シャイニーとハナと目を合わせる。

 いつものあれ、だ。


「スリー」

「「「ビージュ!」」」


 さあ、始まる。

 ウチ達の新しい冒険が………。


「「「いざ、地球へ!」」」




☆🍴❀☆🍴❀




 あれから一年半。

 ウチ達は、国民アイドルとして成長した。

 アイドル名はもちろん、スリービージュ。

 

「学校行くわよ――!」

「はい~」


 とは言え、勉強はやらなきゃいけない。

 補修いっぱい受けたな……。


「あ、スリービージュだ!」

「サインください!」

「私も~」

「ここで会えるなんて、嬉しいっ」

「ね!!」


 あ、そっか地球は広いもんね。

 こうしてサインするのも《《ヒッカ》》になった。

 ウチ、大人気!

 

「あの決め台詞、言って下さい」

「分かりました」


 やっぱりウチ達は三人で一つ。

 三つの宝石。

 いつもの決め台詞をウチ達は飛び切りの笑顔で言った。

 ウチ達は……。


「「「フェアリーアイドル!!スリービージュ!!」」」


 ウチ達の物語ストーリーはいつまでも終わらない!


 

 



 

 

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フェアリーアイドル!! 石川 明日香 @madokaasuka-kinsyo

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