第三話 朝の出来事
8時、左手の秒針が一周回ったところで正門をくぐる。信号の時間までも計算し、ピッタリに着くようになっている。
教室の扉に手をかけたとき違和感を感じる。スパイとしての長年の勘、気をつけろと叫んでいる。
たが、ここは学校。不審者も入ることはできない。この先入観を捨てなければならなかった。
扉を開けると同時に上からの攻撃。角があり、黒く染まりつつある物、
ホワイトボードクリーナーだと!?
紙一重で避ける。服が汚れずに済んだ。安心も束の間、油断をしていた。初撃はデコイであり、上に意識をそらし本命である攻撃を確実に当てるための──
気づいたときには遅かった。ホワイトボードマーカーは目の前だった。
「──いてっ」
この時自分はもう死んでいる。『小学校だから』そんなことはなかった。父上からは警告をされていたはずだ。一体何をしているのだろうか……
「……どうしたの? 大丈夫?」
「いや、僕は死んだんだ。……おはよう」
「お、おはようございます」
***
「で、何してたの? 扉の前で倒れて。死んだとか言ってたけど」
「くふふ、面白かったよとってもね〜くふふ」
仕掛 罠保対象の一手二手まで的確に仕掛けでおびき寄せ確実に本丸の罠で殺す。仕掛家の家に入れば二度と出れないスパイホイホイとも呼ばれる。コイツは危険だ。
「何されたんですか?」
「見てな仕掛けも再準備できてるし、次入った奴が殺される」
薄っすらと影が見える。カモが来たようだ。誰だかは知らないがお疲れ様だった。
取っ手に手をかけ、勢いよく扉が開く。少し大きめの音を立て、皆が注目する。ターゲットは厄屋 座有となった。
上から奇襲ホワイトボードクリーナーが頭を目掛け落下する。
当たる──!
誰もがそう思ったときだった。一人の男が微動したように見えた。刹那クリーナーは何かに邪魔され急激に軌道を変え、飛んでくる。
「──イッ」
油断しかしていなかった。こちらに飛んでくるとは思ってもいなかった。だか、仕掛 罠保のトラップは終わらない。扉を開くことにより起きた第二の矢、第二のマーカー。
そして聞こえるエアガンのような音。かろうじて目でとらえた弾道それは迫るマーカーに当たり弾く。
今度はしっかりと払う。なぜこうもこちらに飛んでくるのか分からないが。
「……誰がやったかはどうでもいいさ。だが、一つだけ言っておくぞ。この教室しかり、この国でも俺は最強だ」
厄屋 座有。この国の中でも最上位のヤクザのグループ、座楽會の会長の実子である。彼個人としてはあまり問題は無いが取り巻き、周りが強いため不用意に近づいてはならない。
そして、雇われたかであろう人物が二人。
神刀 御剣。特に裏との繋がりは無い一般人である。剣道を極め、抜刀術ではギネスを取るほどの実力の持ち主である。さすがに刀を学校に持ち込むことはできないため、傘の柄を刀の柄に代用中である。切ることが出来ずに不服である。
銃機 ショット。早打ち、長距離全射程オールOK。反動に耐えられないためハンドガンを基本とする。学校ではエアガンで対応。ちなみに先生にバレたら没収である。
この教室内でも一位に二位を争うだろう。負けないとは自負しているが脅威には変わりない。もし、この教室で戦争が起こるならば一番攻撃能力の大きいグループだろう。
「どきなさいよ。そこ邪魔なのよ」
商羅 密希。大密輸企業代表の愛娘。希少な物、この国では扱えない物。独自で確立した貿易ルートがあり、この国の裏にも多く関わる。大体何でも持っている。
「お前かよ……今この座有様がこの教室の奴らに格の違いってのを教えてやってたんだよ。邪魔すんな!」
「はいはい、すごーい。タイマンでも張れば?」
この距離の近さ……もしやこれが幼馴染と言う奴では……!? 親の関係性的に無い事は無いとは思うが、となると勝ち目がないぞ!?
心配するところに担任の声が聞こえる。
スクールストラテジー 天然無自覚難聴系主人公 @nakaaki3150
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