第8話 Break

カムイ「Break」

 カムイの拳が当たると、青緑色の稲妻がザイクの体をバチバチと流れる。

ザイク(能力が使えない、しかも体の動きも鈍い、こいつ、やれるな)

 カムイは問答無用に、次の拳また次の拳とだし、顔をぐちゃぐちゃにするが、殴られたそばから再生してゆき、何も変わらない。

ザイク(甘えてるな、)

 カムイと、サンダーの位置が入れ替わる、そしてザイクの技が、サンダーの体を半分にする。

 カムイは、絶望、後悔、屈辱、あらゆる負の感情が、心から湧き上がる、カムイを彩る心のパレットは、やがて黒で塗りつぶされる。

ザイク(吸収、反発の力を端折ることで、実質的なワープを実現したのか、多分だが、障害物があると使えないんだろうな)

ザイク「って言ってももう死んでるか、」

 口から、微かにコポコポという音が聞こえる、血がまるで沸騰してるように。

ザイク「いや、まだギリギリ息はしてるのか」

ザイク「よっしゃ、そこの君この子を助けたかったら僕を殺せ」

 カムイは、鬼神も恐るほどの形相でザいくに向かって走る。

 ザイクは、近ずいてきたカムイの腹を、容赦なく殴り気絶させる。

ザイク「こいつは見込みがある、こちら側に連れてくか」

 ザイクは、カムイを担ぎどこかへ連れていく。


 ―現世―

サミエル「どういうこと?、」

 いつもとは違う暗いトーンで、喋る。

シズキ「サンダーは、遺体で見つかったそして、カムイは行方不明、、、」

サミエル「そうか、」


 2ヶ月後……

シズキ「サミエルー!!」

 サミエルはノートを急いで隠す。

サミエル「うわっ!なんですか?」

シズキ「新しい仲間だよ〜、しばらくは2人で任務をこなしてもらうよ〜、な、な、な、なんと!

初の女の子!セコンド・ユキでぇす!」

 部屋の扉から、入ってきたのは、白い髪にポニーテール、白色の瞳、凛とした印象を、強く受ける見た目の女性。

ユキ「よ、よろしくお願いします!えええっと能力はレイニーです!」

サミエル「あんまり能力は、話さない方がいいよ、」

ユキ「あ、はい!すいません!」

ユキ(クマがすごいなぁ、髪もボサボサ、何かあったのかな)

シズキ「ってことでよろしく!」

 シズキは、そそくさと部屋を出ていく。

 部屋に、沈黙の空気が流れる。

ユキ「あ!あの!天気がいいですね?」

サミエル「うん」

ユキ「お強いんですか?」

サミエル「そんなことない」

ユキ「あの!じゃんけんします?」

サミエル「無理に話そうとしなくていいよ、今から走ってくるから」

ユキ「私も行きます!」


 サミエルとユキは、外へ出て走り出す。

 サミエルのペースはかなり早く、ユキはすぐに倒れてしまう。

サミエル「大丈夫?」

ユキ「まだまだいけます!」

 ユキは息が、荒く今にも限界と言った感じだ。

サミエル「疲れたから、やっぱ帰ろう」

ユキ「あ、後悔しても知らないよ?」

サミエル「しないよ」

 サミエルとユキ、部屋へ戻る。


ユキ「ええええ!!!この部屋でお風呂入るの?!」

サミエル「知らなかったの?」

ユキ「だって、あなた男子なんだよ?」

サミエル「変なことしないよ、それにそれどころじゃねぇ」

ユキ「じゃぁ、先にお風呂入るよ、いい?」

サミエル「好きにして」

 ユキが、お風呂に入ると、ジャーという水の音が流れる。

サミエル「はぁ、疲れたぁ、明日は仕事か、」

 数十分経つと、ユキが出てくると、ボブほどに髪が短くなっている。

 サミエルは、静かに驚く。

ユキ「びっくりしたでしょ、明日から仕事だし邪魔かなって」

サミエル「切った髪どうした?」

ユキ「袋に入れた!」

サミエル「抜け目ないな」


 ユキとサミエルは、ベットへ潜り、寝る。

 早朝、まだ日が出てるかどうかも分からない頃、サミエルは起きる。身支度をして、一息つき、決意をする。

 サミエルは、ドアノブに手をかける。

ユキ「どこに行くの」

 ユキは、重い体を引きずりサミエルの足を掴む。

サミエル「ぶっ殺しに」

ユキ「何があったか知らないけどさ……復讐は何も生まないよ」

サミエル「それでも行くんだよ……」

ユキ「私はどうすればいいの?」

サミエル「好きにして」

ユキ「じゃぁ、止める」

 サミエルは、過去の面影を一切感じない程の罵声を浴びせる。それは冷静だがどこか、悲しさも感じる声で。

サミエル「うるっせんだよ、これしか方法はねぇカムイは俺が助ける」

ユキ「じゃぁ私も行く!」

サミエル「あ゙?」

ユキ「え?」

サミエル・ユキ「……」

 沈黙で、時間が数秒ほど流れたあと、扉を開け人が入ってくる。

シズキ「今度は止めないよ」

サミエル「なんでですか?」

シズキ「止めた方が嬉しい?」

サミエル「違います」

シズキ「だって、一人で行くって言うんだよおまえ」

シズキ「ユキと行くなら別にいいよ〜」

 サミエルは、ユキの手を掴み足を進める。

サミエル「俺から離れるなよ。」

ユキ「うん!」

 サミエル、ユキはゲートを通ると、一歩また一歩と前へ進む。

 ゲートの先は、砂漠のような光景が広がっており、日光な痛いほどに強い。

ユキ「そういえばさ、どこに向かってるの?」

サミエル「リクって人を探しに行く」

ユキ「なんで?」

サミエル「強くなるため」

ユキ「じゃぁ!早く探さないとね!」

 ユキは、先に走り大きく手を広げ振り返る。すると後方から、巨大なミルワームのようなモンスターが、砂から出てくる。

サミエル「早速か、Whiteout」

 サミエルの頬に、十字のアザが出る。

 サミエルは、高く飛びモンスターの口の中に飛び込む。腹の中から声が聞こえる。

サミエル「Aエース

 モンスター野原が内側から切られ、血が流しながら横たわる。サミエルが血だらけの体を、モンスターの方へ向け、喋り始める。

サミエル「なぁ、ミラーってやつは知らない?」

 モンスターは、当たり前のごとく喋れない。

サミエル「なんとかいえよ」

 サミエルは怒鳴りながら、刀を突き刺し、モンスターは悶える。

サミエル「質問を変えよう、カムイって名前のやつを聞いたことがないか?」

 沈黙が続く……。

サミエル「そうか、もういい死んでくれ」

 サミエルは、モンスターにゆっくりゆっくり、刀を刺したり抜いたりを繰り返す。その度にモンスターは、苦しみ悶える姿が見える。サミエルはそれを見ながら、どこか嬉しそうな顔をする。

ユキ「あの〜、もう良くないですか?」

サミエル「あ?、あぁ、まぁそうか。」

 そして2人は、モンスターを置いて、また足を進める。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Whiteout とあかつ @rokunimu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ