世界が生まれるより先に〝めがね〟が在った。そういう可能性が絶対に無いとは言い切れないのです――

初美陽一

世界めがね創造論、爆誕――!(やっちまったなァ~……)

 おはようございます。


 まず初めに、現代に生きる私達は――いえ、たとえ如何なる時代に生まれた者とて、〝世界が始まるより以前〟のことは観測できません。


 果たしてそこには〝無が有った〟のか。

 いえ、〝無〟という概念すら、世界が生まれてより以降に誕生したものゆえに、そこには〝無すらなかった〟かもしれないのです。

(※厳密には紀元前5世紀、古代インドから発祥したという〝无・無〟の概念)


 されど〝世界が生まれる要因〟が、何か、何か〝有った〟のだ、とすれば。

 世界が生まれるより先に〝有ったもの〟が――



 ――――〝めがね〟である可能性も、ゼロではない?――――



 荒唐無稽こうとうむけいと思われるでしょうか、与太話よたばなしの類だと。


 されど先にも申し上げました通り、誰も〝世界が生まれるより前のこと〟は知り得ません。

 ならば、こういう可能性も、あるかもしれないのです。



〝世界が生まれる前、何もなかったかもしれないし、〇〇があったかもしれない〟



 この〇〇に――〝めがね〟が入るという、可能性とて――



 ――〝シュレディンガーの猫〟という、有名な思考実験をご存知でしょうか。


 この思考実験は、箱の中に入れられた猫は、箱を開けられるまでは、生きているか、死……………



 なんで猫なんだよ!!!!!


 可哀想でしょうが!! 猫ちゃんが可哀想でしょうが!!! 猫じゃなくてもイイだろ別に!! ネズミとかでもいいだろが!!!



 ネズミさんが可哀想だろが!!!!



「落ち着け! めがねを見ろ!!」


 こんにちは、落ち着きました。


 ええと、そうですね、まあ猫ちゃんは可哀想なので、めがねでも箱に入れとけば良いんじゃないでしょうか。

 ちょうどシュレーディンガー様もめがねをかけていらっしゃったようですし。


 という訳で、〝箱に入っているメガネは無事なのか、それとも爆発四散して粉微塵になっているのか〟……即ち〝シュレディンガーのめがね〟という訳ですが。


 要約すると〝事象は実際に観測されるまでは確定されず、あらゆる可能性が同時に存在している〟というものです。


 ゆえに、〝世界が誕生する以前のことが観測できない〟以上、そこに何があったのか、確定できません。


〝めがね〟が、有ったかもしれない。


〝めがね〟が、有ったかもしれないのです――



 ……………………。



 もちろん、この理屈なら〝別にめがねじゃなくてイイじゃん〟とも言えます。


 お好きなものがあれば、〝〇〇があったかもしれない〟の〇〇に、何でも入れてしまって構いません。宇宙うちぅでも、伝説の何某なにがしでも、栗ごはんでも、何でも。


 それこそ〝世界が生まれる前、猫があったかもしれない〟のです。


 猫があったかもしれないのか。


 創造神・猫か。


 なんかテンション上がってきたな。


 踊っちゃおうかな。


「落ち着け! めがねを見るんだ!!」


 こんばんは、落ち着きました。



 ……さて、そのようなお話でしたが、如何でしたでしょうか。


 馬鹿馬鹿しい話かもしれません。笑い飛ばして頂ければ、それはそれで本望です。


 されど、可能性は常に無限大、想像を巡らせるのは楽しいもの。


 この珍奇なお話が、誰かのお眼鏡にかなえば、それに勝る喜びはありません。


 メガネに目がねぇ、そんな同好の士の、世界の始まりに。


 ―――どうか、めがねが有りますように―――



 ―― 壮大なる終焉Epic★End ――



※それはそうと読み返してみて「シュレーディンガー様にごめんなさいしないといけないな」と思いましたので、心からの謝罪を致します。

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世界が生まれるより先に〝めがね〟が在った。そういう可能性が絶対に無いとは言い切れないのです―― 初美陽一 @hatsumi_youichi

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