エイプリルタウンの朝

エルフ坊っちゃんの朝


温かい日差しが差し込むリビングでエルフの坊っちゃんは、フォークとナイフを器用に使って爺やお手製のパンケーキを一口食べました。

優しくも温かな味わいが口に広がります。

爺やはエルフ坊っちゃんのすぐ横で紅茶をカップに注いでます。


...おや、爺やはエルフの坊っちゃんの食べるスピードが遅いことに気づきました。

気になった爺やは温かい紅茶の入ったカップをエルフ坊っちゃんのパンケーキが置かれた皿のすぐ横に置いたと同時にチラッとエルフ坊っちゃんの顔を見ました。


ああ、これは...と爺やは心の中で呆れながらすぐ元の位置に戻ります。

エルフの坊っちゃんは食べてはいますが、ボーっとしていてどこか上の空です。

たまにエルフの坊っちゃんがボーっとすることは今からはじまったわけではございません。

本当にたまにこうなるのです。


とくに人間のことになるとね。


何かを夢中になったりするのはいいことです。

ですが、夢中になりすぎるのもあまりよくありません。

爺やは一つ、コホン、と咳払いをしました。

エルフの坊っちゃんはビクッと肩を跳ね上げ、思考世界から戻ってきました。

エルフの坊っちゃんは爺やとは反対側にある古時計を見ました。

もうそろそろ学校の時間です。

エルフの坊っちゃんは慌てて朝食を食べるスピードを上げます。


ガチャガチャ、ガチャガチャ。


爺やはフウッとため息をつき言いました。

「...坊っちゃん、音を立ててはいけません」

「んぐっ、...ごめん爺や」


これがエルフ坊っちゃんのいつもの朝です。


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エルフの坊っちゃんと古代の鐘 シンデン @sinnden

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