はじまり:遠い遠い遥か昔の夢


エルフの坊っちゃんは夢を見ていました。

それはそれはとても賑やかで見たことのない町。


どこもかしこも人、人、人。

地面は土ではありません。

黒く土よりも固い岩のような人工的な地面。

四角い箱のような...少し大きな車輪がついているので乗り物でしょうか?規則正しく並んで右に行ったり左に行ったりと人を乗せて動いています。

自然で見る木よりも高い建物達に大きな石板に人が写しだせれています。

それは色んな景色写し、また違う景色にへと忙しく変わり続きます。

エルフの坊っちゃんは胸がドキドキしてきました。

怖いわけじゃありません、そうこれは好奇心。

それもそうでしょう、だって、彼が目にしているもの全てはー



「おはようございます坊っちゃん」


執事の爺やの声と少し荒々しい揺さぶりにより目を覚ましました。

窓からキラキラと日差しが入り込み、外からは元気な小鳥達の囀ずりが聞こえてきます。

爺やの言うとおり朝がやってきました。

渋々と眠たい目を擦りながらエルフ坊っちゃん、名前はエル・ライラ・ドライゴ...はまだ温かみが残る毛布を名残惜しそうに退かしベットから起きます。


エルフ坊っちゃんの横にはいつの間にか着替えが綺麗に置かれていました。

爺やに礼を言おうと部屋を見渡しましたが、爺やはいません。

エルフ坊っちゃんが寝ぼけているうちに爺やはキッチンに向かったのでしょう。

エルフ坊っちゃんに美味しく温かな朝食を出すためにね。

エルフの坊っちゃんはパジャマを脱ぎ、爺やが用意した洋服に着替えながらあの夢について思い返していました。


見たことのない町。

見たことのない景色。

見たことのない建物。

見たことのない人々。


...いや、エルフの坊っちゃんはあの人々のことについて知っていました。


あれは間違いない。

絶滅したとされる種族。

人間ー


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る