なぞなぞです

鶴川始

なぞなぞです

「眼鏡は眼鏡でも、誰にも見えなくなる眼鏡ってな~んだ?」


「……アメリカ軍とかが開発したレンズからフレームまで透過率がほぼ100%の視認できない眼鏡?」


「なぞなぞなんだよ。回答が文章になっちゃった時点で違うよ」


「誰にも見えなくなる……う~ん、こういうなぞなぞって言い換えが必要だったりするからなぁ」


「お、いい考えだね」


「誰にも見えなくなる……見えなくなる……目がない……めがねえ……眼鏡! 答えは眼鏡!」


「そんな循環参照みたいな答えがあるかよ」


「眼鏡に目がねえから……とりあえずAV探すときに眼鏡のタグから対象のAVを探す人!」


「その解答のどこに正答である目があった?」


「僕は元々地味な眼鏡っ娘モノが好きだったんだけど、AV特有の普段全然眼鏡をかけてなさそうな女優に眼鏡と地味な恰好をさせて無理矢理眼鏡っ娘に仕立てあげた感じのAVの良さも最近わかってきました」


「お前のことじゃねえか、とりあえずAV探すときに眼鏡のタグから対象のAVを探す人はよ……全然答えが出なそうだからヒントな、誰にも見えなくなるっていうのは、誰からも居るものとして扱ってもらえなくなるってことで……」


「…………僕?」


「なんかごめん」


「あ、えっとつまり、クラスメイト全員から居ないものとして扱われていて陰では名前ではなく『メガネ』とかって呼ばれてる眼鏡をかけた男子生徒?」


「解説しなくていいって! あんまめげんなよ」


「ええー、全然わからないよ」


「……そんな解説をしたやつに促すのは心苦しいが、まあ、そういう居ないものとして扱われている状態を単語に直して……」


「……無視? むし……虫眼鏡か!?」


「正解正解。いや正解までが長すぎただろ……」


「いい暇潰しになったよ、ありがとね!」


 そう言うと男子生徒の幽霊の体は徐々に透けていく。


「久々に人と話したよ! 僕が見える人なんて久しぶりだ」


「……このアタシのかけてる眼鏡、霊感とかなくても幽霊が見えるんだ」


「なるほどね! 道理で黒ギャルなのに眼鏡かけてるんだ」


「別にいいだろ黒ギャルが眼鏡かけてもよ」


「おっと、そろそろ成仏しちゃうかも。じゃあね、食わず嫌いだったけど今度は黒ギャル眼鏡モノにも手を出してみるよ」


 そういうと男子生徒は光の粒子になり、消えていった。


「……いい話っぽく消えてったけど最後はただのセクハラだったな」

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なぞなぞです 鶴川始 @crane_river

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