黒歴史なんてないと思っていたのに

結 励琉

おそまつな私の黒歴史

 黒歴史というと思い浮かぶのは「痛ポエム」である。


 もちろん無残な結果に終った恋愛とか、お世話になった方への不義理とかも思い出したくない黒歴史であろうが、それは本当に思い出したくないので、私が思い浮かべることができる黒歴史は、本当に「痛ポエム」だけである。


 その意味では、私には黒歴史はない。ポエムなど書いた記憶がないからだ。


 だから、カクヨム誕生祭2024の一企画として「黒歴史放出祭」が始まったときは、「私には黒歴史なんかない」という安心感と、「せっかくの企画なのに書くネタがない」という残念な思いが、私の心の中で交差していた。


 そう、今日までは。


 今日は私は片付け物をしていた。押し入れがいっぱいになってきたので、久しく開いていなかった、学生時代の資料を詰め込んでいた段ボールを開けた。何か捨てられるものがないかと思ったからだ。


 そして見つけてしまった。


 2編のポエムを。


 私の人生で、詩は書いたことがないと思っていたのに。


 私は困惑とともに、なぜた嬉しさも感じていた。私にも「黒歴史」があったのだ。(繰り返すが、本当に思い出したくない黒歴史は心の奥底に封印している。)


 そして同時に思った。これで「黒歴史放出祭」に参加できると。


 せっかくなので、その2編のポエムを公開しよう。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 ポエム1 題「歴史」


 ほら、聞こえるかい

 絶えず流れるこの水音が

 ある時は低く

 ある時は高く

 これが歴史というものだ


 ポエム2 題「詩」


 熱っぽい手で開いたその本には

 何編かの詩がのっているはずだ

 

 力のはいらない指で

 ゆっくりめくったそのページには

 活字がたしかにおどっていた


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 いや~恥ずかしい。


 何が恥ずかしいかというと、何だこのテーマは。若気の至りで書いた「痛ポエム」とは、厨二病的な、恋愛とか自己の存在への悩みとか、はたまた異能の空想とかについてではないのか。


 それが何だこの「歴史」とか「詩」とかいうのは。


 歴史家気取りか、文学者気取りか俺は。


 まあ、この背伸び感も、若気の至りと言えば言えるのだろうが。


 私にも「黒歴史」があって、こうして黒歴史放出祭に参加できたことは嬉しいと言えば嬉しいのだが、もう少し厨二病的な、みんなの笑いを取れるものでありたかった。


 これじゃ、「何だそれは」で終ってしまう。


 以上、おそまつな私の黒歴史でした。

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