第4話 人と自然

 少し歩くと商店街が終わり、駅へ向かう交差点にベンチがあった。

 そこにドッと身体を預け、カバンからペットボトルを出して、乾いた喉に水を流した。


「はあ。

 何が起きているんだ」


 本当に狐にやられたとしか思えない。

 疲れているかな。

 明日は病院かな。


 顔を上げると車道を挟んだ先に、袴で頭の横に狐面を付けた髪の長い女の子が笑顔で手を振っていた。

 私は立ち上がり、彼女の元へ行こうとするが、信号に阻まれて近くに行けずそのまま彼女はどこかへ消えてしまった。


 彼女がサラかな。


 ヴゥーン、ヴゥーン


 スマホに着信だ。

 出ると


「来てくれて、知ってくれて、ありがとう」


 と、切れた。


 今は人の街となっているが、昔は狐などの動物がたくさん住んでいたのだろうな。

 それは塩尻だけの話ではなくてどこの街にも言えることだろう。

 そして、今も新しくそういう街が作られているんだと思う。


 人が暮らしやすくなる中で動物達は住みにくい土地が増えていっている。


 それは人にとって良いことなのかなと考えさせられた。

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桔梗ヶ原の狐 最時 @ryggdrasil

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