めがね・目の鏡

京極 道真  

第1話 目の鏡

春休み宿題もなくぶらぶら。駅前まで歩く。すれ違う車、人々。

今日は少し風景がスローモーションに見える。春の陽気か。空気が穏やかに揺れている。赤信号、横断報道で立ち止まる。眼鏡が落ちてる。交番が向かいにある。

眼鏡を拾う。青信号。渡る数秒の間に僕はなぜかその眼鏡をかけてしまった。

青い四角い眼鏡。ズキン。頭が痛い。きっと度数が高いのだろう。

外そうと手をかける。眼鏡が話だす。「そのままでいろ。前から来る女子を見ろ。」

「ただのきれいなお姉さんだ。」「ばか、良くその眼鏡で見ろよ。焦点が合わない。合った。すれ違いざまにえっ?狐だ。」「そうだ。狐が化けている。」振り返りお姉さんを見た。見なきゃよかった。しっぽがある。狐確定。しかしどうなってるんだ。「俺様の目の鏡のせいさ。」「鏡?」

「俺様は真実の眼鏡。俺様の度数と合った奴はみな、真実を見ることができる。」「冗談だろう。」

「そう?でもこうやって眼鏡の俺様と話しているじゃないか。目の鏡と書いて眼鏡。鏡は魔力を持っている。俺様の鏡と使った奴の度数、波長が合えば見える。」

「へえー」僕は軽く聞き流した。眼鏡を外し、交番。「落とし物です。」

僕は手の眼鏡を渡した。お巡りさんは何もつかめないようで。変な顔をしてる。

横の鏡を見た。僕の手にある眼鏡は鏡に映っていない。僕はあわてて「ごめんなさい。」と交番を急いで出た。僕は眼鏡をまた、かけた。「おい眼鏡どうなってるんだ。この眼鏡は僕以外見えないのか?」「あたり。君の目と俺様の度数があった。だから見えないものが見えるのさ。」僕はこれでもまだ信じ切れていない。

理科の小山先生が歩いて来た。「えっ?焦点が合う。」先生、宇宙人?

そう言えば授業でやたら天体のことリアルに説明していたな。「こんにちわ、先生。」挨拶だけで僕は走った。

「さすがに、宇宙人にさらわれるのは勘弁してほしい。」

「だがこれも事実だ。この世界は既に多種多様だ。」



















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